まさかのタイミングで提出された“給与引き上げ法案”が、国民の逆鱗に触れている。臨時国会が開会した10月20日に岸田内閣が提出したのが、閣僚らを含む給与引き上げ法案「特別職の職員の給与に関する法律」の改正案だ。
「今年の人事院勧告で一般職の国家公務員の給与が引き上げられるのに合わせ、“特別職”の給与も上げるという内容です。特別職には自衛官や裁判官など以外に、首相や閣僚なども含まれています。今回の法案が成立すると、首相が年間約46万円の賃上げに、大臣が約32万円の賃上げとなるのです。自衛官らの給与を上げるのは理解できますが、このご時世に“首相の給料が上がる”というのは見え方として最悪です。そのあたりを配慮すればよかったのですが……」(全国紙記者)
岸田文雄首相(66)は、11月1日午前中の参院予算委員会でこの法案をめぐり野党から「見直し、または取り下げ」を求められた。しかし、自身の給与の3割を国庫返納していると、「国民の皆さんから不信を招かないように、努力を続けていきたい」と、法案の取り下げは行わない考えを示した。
このまま法案が通れば、岸田首相の給与は国庫返納分を差し引いても年間約30万円の給与アップとなる。SNS上では岸田首相の振る舞いに怒りの声が渦巻いている。
《己が私利私欲を肥やす事しか考えんのか。国民は奴隷じゃない》
《増税メガネには、庶民は見えてないようですね》
《不信ならないように努力?努力を見せたらお前らは給料が上がるんか!?》
そもそも、岸田首相の資産状況からは30万円にこだわる必要性が全く見えてこない。
2021年に岸田首相が第1次内閣発足時に申告して公開された保有資産は、東京都渋谷区、静岡県伊東市、広島市に所有する土地や建物が計1億7595万円で、定期預金は1千万円。妻の裕子さんの広島県三次市の不動産2273万円と乗用車1台を合わせると2億868万円だ。
「岸田首相の祖父の代から所有している渋谷区神宮前のマンションは、明治神宮前駅徒歩2分、原宿駅徒歩5分の超好立地にあり、故・宮澤喜一元首相のご自宅もあったような一等地です。2LDKの場合だと現在の参考価格は1億7000万円ほどになるでしょう。都内の地価は’21年よりも上がっているので、広島、静岡の土地と合わせると現時点では申告時の額を上回る可能性もあると思います」(不動産関係者)
岸田首相の“上級国民ぶり”は資産だけにとどまらない。
「岸田首相といえば、先月にはスーパーの視察で野菜や肉のコーナーを見て『確かに高くなっている』と発言し、《絶対前の値段なんて知らんやろ》と呆れられていたばかり。また、同月の予算委員会の答弁でも『より困っている方に的確に給付を”与える”』と発言し、あまりの上から目線発言に大顰蹙を買うことに。
さらに、昨年12月に石川県の漁業組合が持参したズワイガニを食べたPRの際も『すごいお金持ちになった気分』と発言し、国民の感情を逆撫でしていました。麻生太郎副総裁ほどのお金持ちではないにしろ、それでも3代続く政治家家系に育った岸田首相。庶民の感覚は本気でわからないんだと思います」(前出・全国紙記者)
今回の“給与引き上げ法案”、出すか出さないかは、岸田内閣の判断だ。 岸田首相にとっては、“たった30万円の年収アップ”で失うものが大きすぎはしないだろうかーー。