11月27日、東京・杉並区議会の小林ゆみ区議が、演出家のマシュー・ボーン氏が手がける『ロミオ+ジュリエット』のキャストについて指摘したが、大きな“反響”を集めている。
同舞台は、ウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇の一つ『ロミオとジュリエット』をボーン氏が再構築したもの。主催と企画制作を務めるホリプロ公式サイトの説明によると、舞台は14世紀のイタリアではなく近未来で、ロミオとジュリエットを支援するローレンス神父の性別が女性に、ロミオの親友であるマキューシオがゲイとして描かれるなど、原作に大きなアレンジが加えられている。日本では来年4月に上演が予定されている。
そんな『ロミオ+ジュリエット』について、指摘したのが小林区議。Xで、白人男性と黒人女性が抱き合う公演ポスターの写真とともにこう投稿した。
《『ロミオとジュリエット』の舞台は、14世紀のイタリアのヴェローナですよね。特に人種に偏見は無いですが、その当時その場所に黒人の方はいたのでしょうか?(私が勉強不足でしたらすみません。)》
言わずもがな「ロミオとジュリエット」はオペラ、演劇やバレエなど、さまざまな形式で今日にいたるまで世界中の劇団で演じられ続けている。日本でも、宝塚歌劇団や劇団四季など多くの劇団で公演が行われている作品だ。そもそも小林区議が指摘した『ロミオ+ジュリエット』は、前述の通り原作とは設定を大きく異にしている。
《勉強不足でしたらすみません》と前置きしていた小林区議だが、こうした背景もあって今回の指摘には批判が相次ぐことに。
《時代背景としてはいないでしょうが、演劇は誰が演じてもいいでしょうね》
《原作にその人種が関与しているかどうかが大切なら日本人がオペラを演じるのは論外ですね!》
《それ、海外で活躍されてる日本人バレリーナの方々にも「古典に出るな」と言い放ってるのと同じですよ?もしもこの舞台に日本人がキャスティングされてたら「スゴい!」で終わらせてたのでは?》
《御自覚が無いようですがそれを偏見と差別と言います それ言い出したら日本人も踊れる作品ほぼ無くなりますね》
こうした批判を受けてか、小林区議はその後Xで《すみません、私の勉強不足でした。演出家のマシュー・ボーンさんは「何でもあり」の舞台を創る方だそうで、「原作に忠実に」というスタンスではないようです。一つ勉強になりました 皆様ありがとうございます!》と釈明している。
しかし、この投稿についても、
《黒人ダンサーが主役だから「何でもあり」と言うのはいかがなものでしょうか?もし日本人ダンサーがオーディションに通って、「当時のイタリアにいるはずのない東洋人を使うなんて、何でもありだな」と言われたら、日本人としては悲しいですよね》
《そもそも舞台芸術は「その当時その場所」を再現するものではない》]
などと、再び批判が寄せられていた。