発がん汚染物質“PFAS”が川魚から検出、アサリやタラにも…専門家が食の安全に警鐘
画像を見る 今回調査が行われた神奈川県の道保川(写真:アフロ)

 

海の魚からも検出されている。

 

「’17年には、日本の沿岸水域6カ所、北海道・青森県・岩手県・宮城県・鳥取県・島根県で漁獲されたタラの切り身を調べたところ、いずれも200ng/kg以上検出され、北海道沖の日本海側からは最も高い約600ng/kgを検出しています」

 

川の水と海の水が混じり合う場所に生息するアサリの場合も、濃度がやや高かったという。

 

「北海道、愛知県の渥美半島などで取れた食用アサリを調べたときも、約190ng/kgから1千700ng/kgを検出しています」

 

国産アサリの水煮やアサリご飯のもとが汚染されている可能性は?

 

「未調査ですが、調理をしてもPFASは減らないと言われているので、汚染された状態で口に運ぶ可能性は考えられます」

 

’20年6月に、全国で最も高濃度の汚染水が発覚した大阪府摂津市の野菜からもPFASが検出された。汚染源はPFOAを製造していたダイキン工業淀川製作所と考えられている。

 

「そこで、製作所に道路をはさんで隣接する家庭菜園で取れた野菜を調べたところ、じゃがいもやさといもから100ng/kg前後、なすからは300ng/kg超の量が検出されました。製作所近くで育てた野菜を食べている住民の血中濃度を調べると、かなり高い値でした。野菜を食べるのをやめてもらい、1年後に再度、血中濃度を調べると3割ほど低下していたので、やはり野菜から多く摂取していたと考えられます」

 

近年、原田先生が懸念しているのが、下水汚泥肥料の利用による土壌汚染の問題だ。下水処理場で発生した汚泥には、リンや窒素が豊富に含まれているため、肥料へのリサイクルが進んでいるのだ。

 

「この汚泥にPFASが混じっていることも多く、米国では農地が汚染された事例があります。そこで、昨年に米軍基地が多く汚染水も指摘されている沖縄県産や佐賀県産などの汚泥肥料を琉球新報と共同で調べたところ、やはり高い濃度で見つかりました」

 

つまり、未調査で汚泥肥料を使用すれば、知らず知らずのうちに土壌汚染につながる恐れがあり、そこで育てた野菜にも影響が出る恐れがあるということだ。

 

日本では食品の耐容摂取量など具体的な規制値はなく、調査や対策が進んでいないのが現状だ。では、自衛する方法は?

 

「料理や煮沸でPFASは取り除けないため、汚染がわかっている地域の魚類は食べすぎないように。なにより問題は、食品に含まれるPFASがどのような状況なのかわからないこと。われわれが安心して食べられるようにするためにも、国はより多くの食品を調査する必要があると思います」

 

今回、全国でわかっている「PFASが検出された食品や肥料」を下記にまとめた。確認し、できる限り自衛しよう。

 

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