空前の賃上げも懸念される「人件費」値上げ…美容費や家賃も対象に
画像を見る 賃金の上昇を主要な経済政策においている岸田首相。物価もまた上がっている(写真:時事通信)

 

■円安や原材料費の高騰に、人件費も

 

はたして、今後どのようなものが値上がりしそうなのか。

 

すでに、食品や日用品などは大きく上がっているが、現在、美容院やエステなどを含む理美容サービスの費用や、習い事などの月謝、映画や演劇のチケット料金など、“人件費”に関わるものの価格がじわじわと上がっている。みずほリサーチ&テクノロジーズ主席エコノミストの酒井才介さんが解説する。

 

「人件費のコストを価格に上乗せする動きが見られます。2023年にも賃上げが行われましたが、サービス関連全体の値上げには広がりませんでした。今年は昨年を上回る賃上げが予想され、増加した人件費がサービス関連の価格に転嫁されていくとみられます。

 

現在のサービス分野の物価の伸び率は2%前半ですが、今後は3%程度まで上昇する可能性が。宿泊や外食はもちろん、映画や演劇のチケット料金、美容院やマッサージの料金、学校や塾の授業料など、人が関わる身近なサービスの値段が軒並み上がっていくことが予想されます」

 

この4月からトラックドライバーの時間外労働の規制が強化される。それに伴いトラック運転手が人手不足になる、いわゆる「2024年問題」も家計に与える影響は大きいと、丸山さんが語る。

 

「すでにヤマト運輸や佐川急便が運賃の値上げを発表していますが、物流はすべての分野に関わってきます。人手不足による物流費のコスト増は、商品に転嫁せざるをえない状況です。

 

ティッシュやトイレットペーパーなどのさらなる値上げはもちろん、あまり値上げのなかった衣料品や化粧品などにも値上げの動きが出てくるでしょう」

 

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