■輸入品の値段は1割上昇。影響を強く受ける品目
【1】小麦・うどん
需要の約9割を輸入に頼る小麦は、政府が買い上げ売渡価格を決めている。次回10月の改定で10%程度上がってもおかしくない。政府が値上げ分を吸収するというが、「負担吸収には限界がある。いずれ10%高となるでしょう」。1杯500円のうどんは、約半分の輸入コスト250円がまずは円安で275円に上昇。それだけなら525円で販売できるが、人件費や輸送費、電気・ガス料金なども高騰中だ。10%値上げして550円で販売しないと採算が合わない。
【2】国産米、納豆
輸入とは無縁に感じる国産米も肥料の多くを輸入に頼る。また、大豆は9割以上が輸入品。輸入大豆を多く使う納豆も、円安の直撃が大きいもののひとつだ。ただ納豆などは値上げがむずかしいため、生産者の利益を圧迫し、廃業が増加するリスクが大きい。
【3】オリーブ油
記録的な不作で、家庭用オリーブ油は5月から最大66%値上げされた。これに10%の円安が追い打ちをかけ、さらなる値上げがあるだろう。もう使えないかも。
【4】海外ブランド品
輸入コストの割合によって円安の影響額は異なる。人件費や輸送費、電気・ガス料金など円安以外のコスト上昇も大きく、結局10%程度の値上げになるのでは。
【5】輸入車
テスラ社などの自動車は輸入コストが大きく、円安の影響がダイレクトだ。約600万円の「Model3」は約660万円に上がるだろう。
【6】外国産ワイン
’23年産のボジョレーヌーボーは約3千円。輸入コストは半分程度だが、人件費や輸送コストも含めると’24年産は10%値上げかも。
■エネルギー価格の高騰であおりを受けるもの
【7】ガソリン
原油自体の値動きがなくても、10%の円安で10%値上げの可能性は大。だが、政府の補助金があるので急激な値上げはないだろう。「政府の補助金の元は税金です。今ガソリン価格を抑えられても、ツケは国民に回ってくるでしょう」
【8】輸送業や製造業
ガソリンを多く使うトラック輸送やタクシーなど、またエネルギーを使って機械を動かす製造業なども、コスト増加は必至だ。そして配送と無縁な産業はないので、ガソリンの高騰は全産業に波及するだろう。
【9】電気・ガス料金
液化天然ガスなどを輸入する東京ガスでは、1円の円安が6億円の減益要因になるという。6月から政府の補助金廃止と円安が重なり、家計は大打撃を受けるだろう。