現職の小池百合子氏(72)の3選で幕を閉じた都知事選の投開票からまもなく2週間が経とうとしているが、落選した2人の有力候補の周辺は選挙前以上に連日騒がしい。
まずは広島県・安芸高田前市長の石丸伸二氏(41)。出馬表明時は全国的な知名度はそこまで高くなかったものの、SNSなどネットを駆使した活動が身を結び、約165万票を獲得し2位につけるという下馬評を大きく覆す躍進を見せた。
しかし、石丸旋風を巻き起こすと同時に、“斬新なメディア対応”は大きな批判も招くことに。
投開票当日、各メディアの選挙特番に多数出演した石丸氏だが、フジテレビ系の番組では、元乃木坂46・山崎怜奈(27)の、政策における都政と国政の比重を問う質問に対して、「大変申し訳ないですが、前提のくだりがまったく正しくないなというふうに感じましたよ」などと笑みを浮かべながらバッサリ。
他局の番組でも、質問に対して「なんたる愚問ですか」と言い放つ、質問の内容に正面から答えず逆質問を繰り返すといった対応が目立ち、“威圧的”“パワハラ”といった指摘が相次ぐことに。
その後も、11日放送の『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)では、前述した山崎への対応について「かわいそうだったかな」と反省を見せつつも、「真剣勝負で斬ったら、相手、竹刀も持ってなかったみたいなね。ただ、あれはもう一遍あの場にいても、同じふうにやっちゃうんです。それは女、子どもに容赦をするっていうのは優しさじゃないと思ってる。まぁ、もうちょっと優しく言ってあげれば良かったのかな(笑)」と発言。
続けて、頭に手を置く仕草をした上で、「もっと、ポンポンってやってあげる感じが良かった?」「それでも失礼ですよね!やっぱり失礼じゃないですか。相手もプロとして、あの場にいらっしゃるんだったら」とコメントしたことで、“セクハラ”“見下してる”といった声が続出。
14日に出演した『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)でも、日本の少子化対策について問われ、あくまで極端な一例として “一夫多妻制の導入”を提言。石丸氏自身も「やろうとは思っていない」と語っていたが、連日批判が巻き起こっているなかでの発言ということもあって、言葉だけを捉え嫌悪感を示す人が多数出ることとなってしまった。
そんな石丸氏に約37万票の差をつけられまさかの3位に終わってしまった蓮舫氏(56)も、選挙後のX上でのふるまいが連日物議をかもしている。
9日に駐日イスラエル大使が小池氏の3選を祝して、X上で同氏との2ショット写真を投稿すると、蓮舫氏はイスラエルパレスチナ情勢を懸念し《敗者ですが言わせてください。当選直後にこの外交は私の考えではあり得ません。都民の一人としても、とても残念です》とこの投稿を猛批判。
しかし、この写真は’22年4月に撮影されたもので、勘違いで批判していたことが発覚したのだが、《それならばこそ、きちんと抗議撤回を要請して欲しいです》と主張し、その後も謝罪することなく、一連の投稿をひっそり削除。
また、15日の午前0時から午前6時にかけて、X上で、「共産切り」を立憲民主党に要求した「連合」の芳野会長、投開票日当日に、投票方法について誤った情報を流した『アッコにおまかせ!』(TBS系)、番組の中で自身を揶揄した上沼恵美子に対して、相次いで怒りを表明。
16日には、「共産べったり」などとX上で自身を批判していた朝日新聞の記者が一連の投稿を謝罪したポストを引用しながら《終わらせません。》《弁護士と相談しているところです。まず。朝日新聞への抗議ならびに質問状を出したいと考えています》と猛烈に追及。
連日、怒りをあらわにする蓮舫氏だが、その姿勢には“冷静さを欠いている”といった批判も少なくない。
このように2位と3位が連日炎上し評価を落とすなか、どこ吹く風なのが小池都知事だ。
投開票前は、4月30日の衆院補選(東京15区)で全面支援した乙武洋匡候補が惨敗、支援を受けた自民党が裏金問題によって向かい風にさらされていたことから、一部では苦戦が予想されていた。しかし、蓋をあけてみれば約291万票と石丸、蓮舫両氏に100万票以上差をつけるという圧勝ぶり。
とはいえ、小池氏が“真っ白”かというと決してそんなことはない。
「1期目となる’16年の都知事選では、『7つのゼロ』を公約に掲げ当選を果たしました。8年間で『待機児童』はほぼ、『ペット殺処分』はゼロになっていますが、『満員電車』や『残業』は数字だけを見れば低下しているところもありますが、実際に改善されたかは判断が難しいところ。『介護離職』の実態は悪化しており、17年に希望の党を結成して衆院選に打って出た際の『花粉症ゼロ』にいたっては基準が極めて不明瞭かつ、小池氏もほとんど触れていません。
また2年で約50億円という経費が計上された都庁のプロジェクションマッピング事業も“なんのためにやるの?”といった指摘が絶えず、都議会での答弁拒否率の高さも問題視されるなど、歪みはかなり大きい状態での都知事選でした」(政治部記者)
さらに、自身を巡る疑惑も。
「国会議員時代から報じられていた学歴詐称疑惑について、都知事選前から再び『週刊文春』が報じ、6月18日には小池氏の元側近が虚偽学歴を公表したとして、公職選挙法違反の疑いで東京地検に告発状を提出したと会見を開いています。
そうしたこともあって、今回の都知事選の街頭演説では、かつてないほど大きなヤジが飛ばされるなど相当な逆風が吹いていたかに見えたのですが……」(前出・政治部記者)
結果的に圧勝、3選への厳しい追及もあまりない状況だ。
「投開票前は積極的にXなど各SNSを頻繁に更新し、メッセージを発してきた小池陣営ですが、当選後は投稿が途絶えています。もう当選したから活用する必要もないということなのでしょうか。
都知事選後の話題もほとんどが石丸さんや蓮舫さんの炎上ばかりで、小池さんの今後の都政への言及はあまりありません。小池さんサイドからしたら、石丸さんと蓮舫さんは炎上して自分以上に注目を集めている状況は“自滅”しているように見えていてもおかしくありません。
ですが、石丸さんと蓮舫さんがどんなに炎上しようが、小池さんの疑惑や指摘されてきた不誠実な対応がなかったことになるわけではありません」(前出・政治部記者)
果たして、小池氏は3選の負託を重く受け止め、東京を導くことができるのか――。