■斎藤知事は一貫して「達成・着手率」と説明してきた
そもそも「98%」という数字が持ち出されたのは、1期目のことだった。斎藤知事は7月30日の定例記者会見で、在任中の課題を問われこう語っていた。
「選挙時に掲げさせていただいた公約が、全体で173項目ございます。そのうち一定達成、着手した状況は171項目。パーセンテージにしますと、98.8%という形になります。多くの公約や掲げたことは達成なり着手してきて、ひとつずつ公約は進捗、進んでいると考えています」
会見での発言を振り返る限り、斎藤知事は一貫して「達成・着手率」と説明している。先の兵庫県知事選挙でも公式サイトの政策に、「県政改革としての実績」として《既得権益やしがらみから脱し、県民本位の県政へ! 173項目中171項目は公約達成もしくは公約の趣旨に沿った事業に取り組み中(令和3年8月〜令和6年9月)》と記載。図表では「達成・着手率」として、「98.8%」の数字を提示していた。
つまりSNSでは「着手」の部分が抜けてしまい、「達成」だけが一人歩きしてしまったようだ。だが斎藤知事の説明をわかりにくいと感じた人もいたようで、Xでは《達成率でも進捗率でもなくて「着手率」ってなんなん》《え、そうなんだ。騙されてたなあ》との声も上がっていた。
そこで本誌は11月29日、兵庫県庁企画部を取材し詳しい話を聞いた(以下、カッコ内は担当者)。
まず今回の選挙戦で、斎藤知事が挙げていた「173項目」の公約数について。’21年7月の兵庫県知事選挙では137項目の公約が掲げられていたが、これに関連・付随する施策を加えたことで「173項目」になったという。
例えば’21年6月10日付で公表された「さいとう元彦の約束」には、次の項目があった。
《保健所の体制を強化します。職員の増員をもっと機動的、大胆に行うほか、市町の消防署とも連携し入院調整や搬送業務の円滑化を図ります》
これだけ見ると1項目だが、細分化すると《保健所の体制を強化します》《職員の増員をもっと機動的、大胆に行う》《市町の消防署とも連携し入院調整や搬送業務の円滑化を図ります》の3項目に分けられるというわけだ。
こうした事例が積み重なり、当初の「137項目」が「173項目」に増加したという。