南港ストリートピアノXアカウントより 画像を見る

《一昨日、ピアノの撤去が完了しましたことを、ご報告させていただきます》

 

3月27日、大阪市住之江区にある大型商業施設ATCのシーサイドテラス内に設置されていたピアノの公式X「南港ストリートピアノ」が撤去完了を報告した。

 

ことの発端は3月22日、「南港ストリートピアノ」の運営者が公式Xでピアノの利用者に対して、《練習は家でしてください》などの声明文を発表し、ネット上で批判が殺到。

 

これを受けて、3月25日にはXで騒動を謝罪し、撤去の方向で進めていると明かしていた。

 

いったいなぜネットで炎上する事態にまでなってしまったのだろうか。3月26日、ATCのシーサイドテラスを訪ねてみた。

 

もともとピアノはシーサイドテラス内にあるカフェレストラン『goo-note』の店頭に置かれていたのだが、3月26日時点ですでに撤去されていた。フードコート店舗の店員が明かす。

 

「昨日(3月25日)まではありましたが、今日(3月26日)の朝来たらなくなっていました。昨夜撤去されたのだと思います。

 

確かに下手な人もいましたけど、上手な人が弾いて、音色が華やかな時もあったから残念です」

 

「南港ストリートピアノ」は3年ほど前に設置された。

 

「‘22年4月にATCの別の棟から、シーサイドテラスにカフェが移ってきて、そのときにストリートピアノが設置されたと記憶しています。

 

店のオーナーは50代ぐらいの女性の方で、息子さんがピアノの管理などをしているはずです。ふたりとも、ときどき見かけるぐらいです。ふたりともあんまり店にはいません。

 

女性オーナーはピアノを教えたりもしている音楽家だと聞いています。ATCのホールに著名ピアニストを呼んで、コンサートを開催したことがあるほど、多くのピアニストと交流があるそうです。

 

そのせいか、ピアノ演奏にはこだわりがあるようで、“ストリートピアノ”であっても演奏に条件が付けられていました」(前出・フードコート店舗の店員)

 

南港ストリートピアノの前には注意事項が掲示されていた。

 

《・1回の演奏は『おひとり様10分まで』とさせていただきます。・演奏の際は周囲とピアノに配慮した『優しい演奏』をお願いします。・集客目的でのSNS事前告知や活動告知(チラシ配布など)は禁止です。・周囲に対して配慮のない行為、ピアノへの粗暴行為が確認された際は利用をお断りします。・ピアノが損傷した場合は弁償して頂く場合がございます。・メンテナンスやイベント等でピアノが使用できないこともありますのでご了承ください。》

 

前々から「南港ストリートピアノ」は物議を醸していたようだ。前出のフードコート店舗の店員が続ける。

 

「みんなで言っていたのです。“誰もが自由に弾けるのがストリートピアノのはずなのに、これだけ制限が多いとストリートピアノと違う”って。

 

ピアノを利用できるのは土日祝日の14時から18時で、それ以外の時間はカバーを掛けられていましたね。それでも5~6人の順番待ちができることもあり、人気でした。

 

土日祝日は子連れの人が多いので、なかには3歳ほどの子供がおもちゃみたいにピアノを叩き、音を鳴らすこともよくありました。そういった音が20~30分と続くこともよくありましたね。ピアノの専門家であるオーナーにしてみたらそれが耐えられなかったのではないでしょうか」

 

3月25日の謝罪時に《「ストリートピアノ」という呼称の認識を誤っておりましたことも重ねてお詫び申し上げます。》とXに綴っていた「南港ストリートピアノ」。

 

確かに認識に齟齬があったようだ。別のフードコート店舗の店員が明かす。

 

「子供がおもちゃ代わりにしていた時だけでなく、大人が演奏した際にもレストランで食事をするお客さんから『あのピアノの音なんとかならんか』などの苦情がカフェに入っていたと聞いています。

 

一般的に飲食店のピアノの生演奏は、プロの演奏家が店の雰囲気にあった曲を演奏して、お客さんを喜ばせるものですからね。

 

シーサイドテラスではプロではない素人のお客さんが自分の好きな曲や弾きたい曲を演奏するわけです。お客さんにしてみたら、素人が好き勝手に弾くピアノは騒音でしかなかったのでしょう。

 

ストリートピアノが駅に設置されている場合は、演奏する人が下手なら、通り過ぎればいいだけですけど、飲食店ではそうはいかないですからね……。素人も自由に弾くことができるピアノを飲食店に置くということ自体が間違いだったのではと私は思います」

 

ピアノの代わりに設置されていたのは3つのテーブルだった。この場からピアノの音が再び聞こえる日はなさそうだ。

 

次ページ >【写真あり】南港ストリートピアノが設置されていた「現在のフードコート」

出典元:

WEB女性自身

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