荻原博子さんが参院選の各党政策を徹底比較!自民党は物価高対策の意欲なし、最も「公約の具体性がある」党は?
画像を見る 立憲民主党は「食品にかかる消費税をゼロに」を公約にあげているが、消費税引き下げに消極的な野田代表はどこまで真剣になれるか(写真:共同通信)

 

■賃金が上がっても困窮は続く。これを公約と呼ぶのだろうか

 

そして、もうひとつの焦点はガソリンの高騰対策です。立憲民主党や国民民主党など野党は、「暫定税率の廃止」を求めてきました。

 

そもそもガソリンには1リットルあたり28.7円のガソリン税がかかっています。ですが、1974年に道路整備の財源不足などを理由に、一時的な施策として1リットル25.1円の暫定税率を付加。そこに消費税までかかる二重課税で、“暫定”の施策を50年以上も続けていること自体が大問題です。

 

先の国会では、野党7党が「ガソリン税の暫定税率廃止法案」を共同提出。野党が多数を占める衆議院は通過したものの、参議院は与党の反対で廃案になりました。

 

ですが、今回の選挙で自民党が敗れ、参議院でも野党多数となれば、ガソリンの暫定税率撤廃法案が成立する可能性は高いでしょう。ホルムズ海峡封鎖の脅威は去りましたが、さらなるガソリンの高騰も心配です。自民党の進める1リットル10円安くなる補助金より、25.1円引きとなる暫定税率の撤廃を急いでほしいと思います。

 

このほか各党の公約を見ていると、根拠の乏しい抽象論の多さに辟易します。特に自民党です。

 

石破首相は、自民党の公約の柱は15年後の「2040年までに国民の平均所得を5割以上増やす」だと言っていました。ですが、道筋が見えない絵空事だと批判が集中し、これを前面に押し出すのはまずいと思ったのでしょう。

 

5年後の「2030年度に賃金を100万円増やす」を公約の柱に変えたようです。ただ、これは簡単なことなのです。

 

今春の春闘では、賃上げ率5%台を2年連続で実現しました。今後も5%アップが続くと、現在の年収が400万円の場合、1年後の2026年には420万円、2027年には441万円、5年後の2030年には510万円。5年で110万円賃金が増えることになります。

 

賃金アップは企業努力もありますが、大きな要因は物価上昇です。この物価上昇をそのままにしておくことで、賃金アップがかないます。つまり、自民党は物価高騰対策などする気はないと宣言したようなものなのです。

 

自民党は、1人2万円の給付金が物価高騰対策ではないかと反論するでしょうが、給付金は選挙対策にほかなりません。国民の生活に寄り添った政策とはいえないでしょう。

 

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経済ジャーナリスト

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