経済産業省(東京都・霞が関)の花壇に投入される「除染土」(写真:時事通信) 画像を見る

9月14日、環境省は、福島第一原発事故で放射能汚染された土を除染して出た“除染土”の一部を霞が関に運び込んだ。中央省庁計9カ所の花壇や盛り土に使うほか、今後、霞が関以外の中央官庁の庁舎などでも使用するという。

 

さらに、浅尾慶一郎環境大臣(61)は、除染土の名称を“復興再生土”に変更すると発表。今後、全国の公共工事で再利用を進めることへの理解を国民に求めた。

 

「いくら名称を変更しても、放射能汚染された土であることに変わりはありません」

 

そう警鐘を鳴らすのは、原子力市民委員会の座長の大島堅一さん(龍谷大学・政策学部教授)。

 

政府が名称を変えてまで、再利用を進める意図を、こう解説する。

 

「これまで除染で出た土は、東京ドーム約11個分(約1千400万立方メートル)もあり、現在は中間貯蔵施設(福島県大熊町・双葉町)で保管されています。これらの除染土は2045年までに福島県外で最終処分すると法で定められていますが、処分地の選定や運搬には困難が伴うため、政府としては今のうちに少しでも量を減らしておきたい。そこで考えたのが、公共事業などでの“再利用”なんです」

 

場所の選定にも理由がある。

 

「環境省はこれまで、福島県内をはじめ、新宿御苑や所沢市(埼玉県)など数カ所で、除染土を盛り土に用いる実証事業を計画しました。しかし、いずれも近隣住民の反対で頓挫しています。反対を避けるために省庁から再利用を始めたのでしょう」(大島さん)

 

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