「負担する薬代は20~30倍に」高市政権で医療費負担増の懸念…維新と連立で「OTC類似薬の保険適用外」に現実味
画像を見る “薬代に殺される”……過言ではない(写真:graphica/イメージマート)

 

■早ければ来年度から一部のOTC類似薬が保険適用外に

 

大腸がんのステージIVで5年間闘病中の山下ふみさん(仮名・50代)は、不安な胸のうちをこう明かす。

 

「私は5年前に大腸がんの手術を受けて以来、現在も3週間に1度、抗がん剤を服用しています。その副作用で、手のひらや足裏が痛み、ひび割れして出血することがあります。その症状を緩和するために、保湿剤のヘパリンクリームやステロイド剤のリンデロン軟膏に加え、便通を促すマグミット錠なども処方してもらっています。

がん治療は長期にわたるので、これらが保険適用になると、薬代がどれほど増えるのか心配で」

 

山下さんは現在、3週間に一度の通院で、抗がん剤を含む薬代などで月におよそ1万円の医療費がかかっているという。このうち、処方されているOTC類似薬は次の3種類だ。

 

〈リンデロンVG軟膏40g(5本)、ヘパリン類似物質クリーム75g(5本)、マグミット錠(60錠)〉

 

3割負担で試算すると、自己負担額は約2千円となった。今後、これらのOTC類似薬が保険から外され、同じ処方量を薬局で購入するとなると、薬代はいくらになるのか。

 

記者が複数のオンラインストアで比較したところ、およそ次のような金額になることがわかった。

 

〈リンデロンVG軟膏40gで約3千~4千円、ヘパリン類似物質クリーム75gで約2千~3千円、マグミット錠60錠で約900~1千500円〉

 

つまり、OTC類似薬が保険から外され、薬局で購入した場合の合計額は、最大で1回あたり約8千500円。処方薬より約6千500円も負担増に。山下さんの場合、3週間おきに薬局で購入したとすると、年間で約10万4千円も負担増になることがわかった。

 

「現在は、副作用を抑えながら仕事を続けていますが、負担が増えると薬を減らさざるをえなくなるかもしれません」

 

そうなれば、仕事を続けることも困難になってしまう。

 

山下さんのような、がんや難病患者は決して少なくないのだ。

 

「早ければ2026年度から、一部のOTC類似薬を保険適用外にする方向で議論が進んでいる」(前出・山口さん)

 

という。

 

明日はわが身。まずは、患者の声に耳を傾けるべきだろう。

 

画像ページ >【金額比較あり】50代女性(大腸がん・ステージIV)の処方負担額(他2枚)

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