■2月末に赤坂で行われるイベントには育子さんら赤坂の芸者衆も参加。赤坂ににぎわいを取り戻す
「元気の秘訣は、いつも“くじけちゃいけない”と思って生活してます。80過ぎても、つらいこと悲しいことはあります。ですが悪いことは半分にして受け止め、例の鏡に向かって、時には泣きながら『イヤな顔してゴメンよ』で、おしまい。
あとは今日みたいに若い人と稽古したり、お座敷でお客さまと会話するのが生きがいになってます」
きたる2月28日から3月8日まで赤坂の街を舞台に、東京都が実施し、育子さんが企画にも参加した江戸文化を体験できる一大イベント「赤坂茜彩」が開催される。この日も、その稽古の帰りだった。
「私も28日には、『赤坂坂物語』という新しい踊りと語りをミックスさせた演目に出演します。ぜひ赤坂にお越しくださいませ」
いまなお、チャレンジ精神も健在だ。さて、取材の最後に、愛する赤坂の街を背景にした写真撮影をお願いした。日枝神社やTBSも近い、こじゃれた飲食店の看板が並ぶ商店街を歩くときも、育子さんが“わが娘”と呼ぶ弟子たちの誰かが、自然に“おかあさん”の手を引いている。
周囲の通行の妨げにならぬよう大通りを一本入った場所で撮ろうとしていると、ひとりの通行人の男性が声をかけてきた。
「みなさん、雑誌の撮影ですか。それだったら、せっかくですので、どうぞ、うちの正面で撮ってください。
なんといっても、育子お姐さんは赤坂の宝ですから」
偶然、通りかかったのが、いまや赤坂に2軒だけ残る料亭のひとつ「赤坂浅田」の浅田松太社長だった。
いざ浅田の表玄関で撮影が始まると、やっぱり中心になって皆をまとめ盛り上げるのは育子さん。
「みんな、とびきりの笑顔と艶姿でね。お口は“い~”の形で。さあ、ご一緒に、『赤坂の街はきれい~』『芸者さんはかわいい~』で、はいポーズ。誰だい、『おかあさんは怖い~』なんて言ってるのは!」
大人の街・赤坂に、そこだけ春を先取りしたかのような、華やいだ芸者衆の笑い声がはじけた。
画像ページ >【写真あり】紅をひいた瞬間お座敷モードに。4年前から心臓ペースメーカーに頼るが「舞台に立てばスイスイ踊ってますけどね」(他3枚)
