■消費税の減税が行われない恐れも
一方、医療費についても、厳しい負担増が予想されるというのは、医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんだ。
「日本の診療報酬は先進国のなかでもダントツに安く、心臓マッサージをしても医療機関に払われるのはわずか3000円と、街中のマッサージ店よりも安いのです。ところが診療報酬は簡単には上げられません。自己負担1割の患者の場合は残り9割、自己負担3割の患者の場合は残り7割の医療費を医療保険や国、自治体が負担しているからです。国の負担を減らすには、患者の自己負担割合を増やす方法が簡単なんです」
現在、高齢者の医療費の自己負担は、70歳未満までが一律3割負担。そして、70歳以上75歳未満が原則2割負担、75歳以上が原則1割負担となる。ただし70歳以上でも現役並み所得者は3割負担だ。
「いずれ高齢者も原則3割とするでしょう」(上さん)
前出の古賀さんも同意見だ。
「衆院選は最長4年後、次の参院選までは2年半。選挙のない期間に、嫌なことは全部やってしまおうと急ぐはずです。早ければ2028年度にも、医療費の自己負担2~3割対象者の拡大が可能になります」
かりに医療費が1割負担から2割負担になると、どうなるのか。厚生労働省「後期高齢者医療事業状況報告」によると、2024年度の後期高齢者が払っている年間医療費は1割負担の人で1人あたり9万7000円、夫婦で19万4000円。2割負担となれば、夫婦で年間19万4000円の負担増となる。
どちらかがデイサービスなどを利用している75歳以上の夫婦なら、今後2年半のうちに介護費と医療費あわせて33万円もの負担増になる可能性があることになる。消費税の減税では賄えない金額だ。しかも、その消費税減税すら危ういと古賀さんは指摘する。
「自民党の公約には《実現に向けた検討を加速します》と書かれている。官僚が見れば、一目で減税しないことだと読み取れます」
減税なしの負担増となれば、高齢者にとって地獄が待っている。
画像ページ >【図解あり】介護負担を2割にする議論が行われている(他2枚)
