「私たち町の職員も被害が少なく不思議に思っているぐらいでした」
そう語るのは熊本県益城町の関係者だ。
7月28日に発生した熊本地震で、益城町も震度6強の地震に襲われた。ところが、町役場は震災3日目の31日、日常の業務をおこなっていた。10年前の熊本地震で、益城町は県内で最も被害が大きかったところだ。
「10年前の熊本地震で益城町は、4月14日から4月30日までの16日間で震度7が2回、震度6強が2回、震度6弱が3回という地震に見舞われました。関連死を含め地震での死者は45人、1万6000人が避難し、町の家屋の98%が全壊や半壊、損壊の被害を受けたのです。町内の道路も200カ所近くが被害を受け、亀裂が入った町役場はその後解体されました」(報道関係者)
ところが、今回の地震で町内の被害はほぼなかったと言って良い。
「7月31日現在、亡くなった方は0人で、倒壊した家屋は2棟と聞いています。住家の被害はほぼなかったようです」(益城町危機管理課)
町の関係者は冒頭の通り、被害の少なさに驚いたほどだった。
「新築した町役場は免震構造にしたため、地震の際も机や棚から物が落ちるということもまったくなく、庁内の片づけは不要でした」(同前)
もっとも地震発生当初は、電気が止まり、水道も一時断水した。
「そのため、被災当日には避難所には700人が来られました。しかし、翌日には電気も通り、濁った水でしたが水道も復旧したため、避難者は80人に減ったのです。建物の倒壊はなくても、家の中では物が落ちたり、家具が倒れたりして室内で寝ることができない人もいると思いますが、けが人の報告もほとんどありません」(同前)
いったい何が功を奏したのか。じつは2016年の熊本地震以降、益城町では“地震に強い強靭な町づくり”を掲げて復興した経緯があった。
「2018年に新しい都市計画を立て、道路を拡幅することや、住宅エリアを決めて、地震に強い住宅の建設を進めたのです。その影響もあり、前回の地震後に町を離れた人が同町に戻り、人口が増加傾向にあるのです」(報道関係者)
町の住民に聞くとこう答えた。
「10年前の地震以降、家を建て替えたところは、平屋を建てた人が多かったね。家が新しくなっているところは、ほとんど倒壊なんかしてない。町の被害でいえば、神社の石灯篭が倒れた場所が2カ所あるぐらい。一部の橋に段差ができたところもあるが、10年前に比べれば、何もないに等しい」
現に、益城町ではコンビニエンスストアや、飲食店などは通常営業している。
町では4月以降、2016年の熊本地震から復興10年を記念したイベントを開いてきた。今回の地震は、まさに10年かけて復興した益城町の実力が試された地震だったのかもしれない。
画像ページ >【写真あり】“10年前の教訓”で、震度6強でも“被害はほぼ0”に収めた熊本県益城町(他2枚)
