■「忘れた頃に同じような案が出てくるのでは」と懸念
藤村氏がさらに疑問を抱いたのは、今回のリスト見直しを検討したメンバー構成だった。
「検討会には大学教授や動物病院の院長、国の研究機関の研究員など、そうそうたる方々が名を連ねています。一方で、実際に野良猫の保護やTNR活動に携わっている愛護団体の関係者が委員に一人も入っていないことにも、私は疑問を感じました」
そして、藤村氏は検討会の議論にも目を通したという。
「議事録を調べると、『猫に狂犬病予防接種を義務付けましょう』という趣旨の議論もありました。学術的には猫も狂犬病ウイルスに感染する可能性があるとされていますが、日本国内では長年、狂犬病の発生はありません。
それにもかかわらず、国内で飼育されている900万匹の猫に毎年の予防接種を義務付ければ、飼い主の負担も非常に大きくなります。誰のための制度なのか、という疑問を持つ飼い主が出るのも当然でしょう」
藤村氏は、こうした議論の背景に「利権が生まれるのではないか」との不信感すら抱いたという。
現時点では、予防接種の制度化が決まったわけではなく、その真意についても慎重に見極める必要がある。それでも今回、猫を愛する人々が強い声を上げたことが、改定案の撤回につながったのは間違いないだろう。
「今回は、私たちの反対運動が実って本当によかったと思います。でも、愛護団体の間では『また忘れた頃に同じような案が出てくるのではないか』という心配もあります。
だからこそ、これからも関心を持ち続けなければなりません。検討会で決まる前に、実際に動物と向き合い、命を守る活動をしている人たちの声にも、もっと耳を傾けてほしいです」(藤村氏)
“ノネコ”か、“イエネコ”か――。一見すれば、リスト上の表記をめぐる表面的な問題にも見える。だがその言葉には、人間とともに暮らす猫たちの生命がかかっているのだ。
画像ページ >【写真あり】小池百合子都知事の愛犬メイちゃん(他1枚)
