■「何もしなければ約2.3メートル沈む」
大阪市は、IR・カジノ建設予定地について、134カ所でボーリング調査を行っている。 藤永さんが情報公開した「土壌改良工事報告書」によると、地下に水がたまっている場所も示されており、工事区域については、すべて「液状化対策が必要」との評価が下っているという。
そのため、藤永さんによると、建設にあたっては地中にセメントと固化材を混ぜ込み、地盤そのものを固める深層混合固化工事が必要になるという。こうした“地盤対策”の費用には、市税約410億円が投じられているというが、「これだけですむはずはない」と、藤永さんは懸念する。
「私が情報公開請求で入手した資料によると、ホテルやカジノ、劇場などが入る『MGM大阪』というメインの施設は、地上27階、地下1階で、高さ126メートルに及びます。このような高層建造物を建てる場合は、杭を約80メートル下まで深く打ち込んで支えなければならない、と記されているのです」
藤永さんが、さらに資料を読み込んでいくと「何も対策をしなければ、将来的に地盤が約2.3メートル沈下する」とまで、記されていたという。
「港湾局に『この杭の費用は誰が負担するんですか』と聞いたら、『事業者です』という説明でした。ただ、資料を読み込むと、下水道の接続費用などについては『関係者で分担する』と書かれているものもある。では、その“関係者”とは誰なのか。IR事業者なのか、大阪府なのか、大阪市なのか。そこを曖昧にしたまま進めるのはおかしいと思っています」
■地中に打ち込んだ「排水材」17万本を抜き取る工事も
さらに、建設予定地では、地盤に含まれる大量の水を抜く工事も行われている。
「PBD(プラスチック・ボード・ドレーン)と呼ばれる大きなストローのような排水材を地中に打ち込んで、水を抜いて地盤を固めるんです。ところが、排水材が突き刺さったままでは、その後の土壌改良工事ができない。ですから、水を抜いたら、今度はPBDを抜き取る必要が出てきます。私は最初、排水材はせいぜい1~5メートルくらいのものかと思っていました。でも実際には40メートルを超える長さのものもあるようです」
藤永さんが、情報公開請求で入手した資料によると、PBDは1本約3万円――。
「IR予定地では約17万本も抜かなければならないとされています。これも当初は見えていなかった大きな予算です。杭を引き抜く費用は誰が負担するのか。それも明らかではありません。だから、まだまだ調べなあかんのです」
実際に、記者も藤永さんに同行してIR・カジノ建設予定地に行ってみると、巨大なクレーンが林立していた。杭を打ったり、抜いたりといった土壌改良工事を行っているのか……。
