■「身を切る改革」は国民民主の連立入りを阻むため?
では、維新はなぜ45議席削減にこだわってきたのか。
「維新が本当にやりたかったのは副首都構想です。でも、それだけでは連立入りの大義名分にならない。そこで『身を切る改革』として定数削減を連立合意の柱に据えたんです。
しかも45議席削減は、維新にとってはかすり傷でも、比例代表への依存度が高い国民民主党には大きな打撃になる。つまり、45議席削減を掲げている限り、ライバルの国民民主党は連立に入りにくい。
維新が定数削減を掲げた一番の目的は、実現することではなく、国民民主党の連立入りをブロックすることだったと私は見ています」
ところが、自民党の31議席削減案では、その構図が変わる。
「自民党の試算では、45議席削減だと国民民主党は7議席減るのに、31議席削減では2議席減にとどまります。国民民主党は7議席も減るなら受け入れられないけれど、2議席なら受け入れられる。国民民主党のために考えられた折衷案といっても過言ではないでしょう」
国民民主党が提案していた「19議席」削減案についても、「さらに19議席まで減らせば、維新との連立合意はもっと骨抜きになる。維新を追い込む狙いもあったのでは」と分析している。
■「野党にも自民党にも味方がいない」
それでも維新は、連立を離脱できないという。
「本来なら、自民党が31議席削減案を出した時点で、『連立合意を無視するのか』と激怒して連立を離脱してもおかしくない。それすら言えない時点で、もう負けているんです。
維新は高市さんについていくしかない。なぜなら、維新にはもう行き場がないからです。野党を敵に回し、自民党内にも味方が少ない。だから、定数削減が骨抜きにされても連立にしがみつくでしょう」
なぜ、そこまで維新は嫌われているのか。
「まず、維新の政治家たちの振る舞いですね。強引な交渉を仕掛けたり、威圧的な態度を取ったりする。そのうえ、地方議員も含めて維新議員の不祥事が相次いでいる。閣内に入れることが大きなリスクになってしまいます。
さらに、維新は大阪のためだけに政治をやっているというイメージも強い。大阪・関西万博も副首都構想も、大阪に国の予算を引っ張ってくるための政策だと受け止められているんです」
■高市首相も「維新外し」に傾いた理由
ここにきて、これまで維新を守ってきた高市首相も態度を変え始めている、と鮫島氏は指摘する。
「これまで高市さんが維新を守ってきたのは、自民党内での自分の力が弱かったからです。麻生さんに対抗するためには、維新が大事な味方だった。
でも、2月の衆院選で自民党が大勝して、高市さん自身の党内での影響力が強くなった。今回の組閣でも、自分で人事を進めるようになってきました。一方、麻生さんは86歳です。高齢になり、以前ほどの力はなくなってきている。
そうなると、高市さんも、党内で嫌われている維新を無理に守る必要がなくなる。むしろ、1年後の総裁選を考えれば、維新をかばって自民党内に敵をつくるほうが得策ではない。
麻生さんは国民民主党を取り込むために維新を外したい。高市さんも、維新を守る必要がなくなってきた。つまり、維新を外すという点で、2人の利害が一致してきたんだと思います」
一方、比例代表だけを削減することには、少数政党の支持者や地方の声が国政に届きにくくなるとの批判がある。
「結局、政策っていうものは、政治家同士の利害や押し合いへし合いで決まっていく。今回の定数削減も、まさにそういう政局なんです」
「身を切る改革」を掲げて連立入りした維新。その看板を自民党に書き換えられても政権にとどまり続けるのだろうか――。
画像ページ >【写真あり】今年7月に行われた党首討論では厳しい議論を交わした国民民主党の玉木代表と高市首相だが(他3枚)
