9月28日、脚本家の倉本聰さんが、北海道富良野市の自宅で多臓器不全のため9月18日に亡くなっていたことが、倉本さん自らが理事長を務めていた倉本財団の公式サイトを通じて発表された。91歳だった。
すでに葬儀は近親者のみで営まれており、11月3日には同市にある富良野演劇工場でお別れの会が開かれる予定だという。
倉本さんが手掛けた数多くの作品のなかでも、代表作として真っ先に名前が挙がるのが国民的ドラマ『北の国から』(フジテレビ系)シリーズ。‘81年の放送開始から‘02年まで21年間にわたって放送された同作は、東京から故郷の北海道・富良野に移り住んだ田中邦衛さん(享年88)演じる主人公の黒板五郎と、吉岡秀隆(56)扮する純、中嶋朋子(55)演じる螢の兄妹が、大自然の中でたくましく生きていく姿を描いたヒューマンドラマだ。
最終作となったスペシャルドラマ『北の国から 2002遺言』(フジテレビ系)では、富良野だけでなく、北海道羅臼町も物語の舞台となった。
劇中で純が生活していた漁師の作業小屋『純の番屋』は、羅臼の市街地から20キロ以上離れたところにある。
「撮影が行われたのは、最終集落である相泊(あいどまり)から、さらに奥地へと足を踏み入れなければならない場所でした。そんな場所に俳優とスタッフ総勢70名からなる“倉本組”が赴き、およそ半年にも及ぶ長期ロケを敢行したのです。
冬季には、相泊から先の道程は、踏み跡すら存在しない50センチもの新雪を、スキー板を付けかき分けながら進むしかありません。ロケ現場周辺には、本物の猟師たちが夏季に使用している番屋が数軒立ち並んでいるだけです」(芸能関係者)
当時撮影隊を支援し、現在も羅臼町役場に在職中である社会教育課の堺課長に本誌が電話取材すると、当時の撮影を振り返ってくれた。
「冬の相泊から先と言えば、誰も入らない場所ですよね。積雪も人の丈ほどもあるし、ヒグマも出没するわけで。そんなところであえて撮影するということで、呆気にとられたこともありましたね。
季節風の強い場所で、悪天候の日には地吹雪に、さらに流氷の接岸待ちもあって、途方もない時間を掛けましたね」
過酷なロケの一方で、町は歓迎ムードに包まれていたという。
「純役の吉岡秀隆さんと、その恋人役を演じた内田有紀さん(50)が羅臼でのロケに合流されたときには、町を挙げての歓迎会が開かれました。
ドラマ放送後は、全国から多くの観光客が訪れるようになり、地域に多大な経済効果をもたらしています。撮影に使用された『純の番屋』は、放送から20年以上が経過した今もなお市街地にレプリカとして移築され、土産物レストランとして使われています。羅臼の地にとって、倉本さんが残された功績は計り知れません」(前出・堺課長)
多くの人々の心を打った名作の裏には、妥協なき厳冬ロケがあったーー。
画像ページ >【写真あり】『北の国から』の最終作が撮影された羅臼町の海岸沿い(他2枚)
