「現在、大阪市は外郭団体、天下りともに大幅な削減に成功した(‘11年12月発表のデータで、外郭団体の数は40、天下りOBは約1,400人)と胸を張っていますが、それでも’06年の名古屋市にもおよんでいません」
そう語るのは全国市民オンブズマン連絡会議事務局・内田隆さん。’06年、政令指定都市の外郭団体について調査した『全国市民オンブズマン』データによれば、大阪市の外郭団体(自治体が25%以上を出資している法人)の数は64で、ワースト1位。支払われた契約業務委託金は860億円にもなる。
さらに外郭団体は市職員の格好の天下り先になっているという。同じ’06年データでは、天下りした大阪職員OBは3千200人。横浜市の218人、名古屋市の314人と比べ、どれだけ突出しているかがわかる。当時の政令指定都市からの天下り職員の3分の2を占める数だ。
郭団体のなかには、地球規模での環境変化を研究する『地球環境センター』や、海沿いに大型商業施設を運営する『アジア・太平洋トレードセンター』など、市民とは直接関係なさそうなものも多い。情報公開請求や行政問題に詳しい弁護士の新海聡さんはこう語る。
「これらは、選挙で現職が有利になるための集票のツールとして使われてきたのです。有力者の冠婚葬祭にばかり支出する大阪市長の交際費を見れば、その姿勢がよくわかります」
大阪市のホームページでは、月ごとに『交際費支出状況』が公開されているが、その多くは地域振興会の会長の葬儀への『供花代』だ。新海さんは続ける。
「自分の気に入ったところへおカネを配るのでは、贈与と同じです。こういったことをなくすには、交付金の判断基準を明確にした条例の制定が望まれます」