「ユメは、ヨコヅナになることデス!」

長引く日本人横綱の不在の一方、外国人力士が活躍する相撲界。ついに、アフリカ大陸出身の力士が誕生へ!大嶽部屋に所属する「ブーディ」ことアブデルラフマン・シャーラン君(19)は、生粋のエジプト人。そんな彼と相撲との、運命の出会いは5年前。動画サイトで相撲を知るや、瞬時に土俵に恋をした。

「ケガにも負けず、武蔵丸関から勝利をもぎ取った貴乃花関の姿を見て、相撲は一スポーツではなく、ライフ(人生)そのものなんだと感動しました」

すぐに相撲を始め、世界大会で2度、銅メダルを獲得。そして一昨年、入門希望の手紙を多くの相撲部屋に送ったが、すべて空振りに……。それでも、丁寧に断りの返事をくれた親方に猛アピールを続け、ついに昨年10月、見習いとして部屋入り。日本の相撲界に飛び込んだ。

当初はまったく話せなかった日本語も、稽古の合間に勉強中。「オハヨウゴザイマス、前を失礼シマス、あと……ゴッチャンデス!(笑)」と、覚えたての挨拶を、記者にも披露してくれた。

しかしブーディ君、エジプト出身ということで、じつは豚肉が「ゴッチャン」できないイスラム教徒。1日5回の礼拝も欠かさない。文化の壁は分厚いが、溢れる相撲愛と周囲の理解で、夢に一歩近づいた。

温めている四股名(しこな)は、故郷にちなんで『大砂嵐』。はるかなナイルに思いを馳せながらも「ワタシの家は土俵です」と胸を張る。注目の初土俵は三月春場所。どんな「春の嵐」を見せてくれる!?

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