“あの日”から11ヶ月。環境省は1月4日「福島環境再生事務所」を立ち上げた。この団体は、福島県内の放射性物質除染や市町村による除染の支援を行うものだ。発足にあたり環境省の職員に加えて、20名が新規採用された。そのなかに女性が3人いた。父の設備会社から転身したという工藤真由美さん(38)は涙ながらにこう語る。

「私が住む猪苗代町には放射能から避難された方が多くいます。お父さんを残して子供とお母さんだけだったり、おじいちゃんやおばあちゃんを置いて来たなど、家族がバラバラになってしまった。そんな実情を目の当たりにして『なんとかしなければ』と思い応募しました」

1月17日には、福島県広野町の除染モデル事業に携わっていた59歳男性が倒れ、搬送先の病院で死亡。死因は調査中だという。男性は昨年12月から除染活動に従事している。3人のうち唯一の既婚者で、12歳と6歳の娘を持つ母でもある彼女。この“除染士”という仕事に、不安や家族の反対はなかったのだろうか?

「昔からエネルギー問題に関心があり、20代では東海村に勤めていました。父の会社も『安全にライフラインを維持する』という仕事。日本のエネルギー事情に貢献するため、ここで頑張りたいんです。心配していた主人には、きちんと放射能の知識を身につけ安全な環境での仕事であると話し、納得してもらいました。子供たちには業務内容を話していません。中学入試を控えた長女は採用倍率の高さに関心を持っていましたが……」

警戒区域以外、県全体の除染計画を立てる工藤さんは、各市町村を行き来する日々。同事務所は’13年8月までに、放射線量を昨年8月と比べて50%減少させる予定というが……。彼女は、こう決意を語る。

「人も時間も足りないことは承知しています。でも素早くやらないと。そして家族が一緒に住める福島に戻したい。子供たちの笑顔を取り戻すためにも、走っていきます」

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