女子サッカー日本代表”なでしこジャパン”新メンバーに選ばれた現役女子高生、京川舞選手(18)。2月29日のノルウェー戦でいきなりデビューしたゴールデンルーキーだ。茨城県小美玉市に住む父の誠さん(57)によると、彼女がサッカーをやり始めたばかりの小2の夏、試合中に相手の選手の足が顎にあたり、前歯で舌を噛んでしまったことがあったという。

「舌が2カ所、貫通していて、縫うことになりました。麻酔を使えないので『お父さん、後ろでおさえてください』と言われ、泣き叫ぶ舞を押さえ、2針ずつ縫いました。その直後、私が家に帰ろうと言ったら、舞は『いやだ、試合会場にもどる』と言う。『まだ試合の途中だから逃げ出したくない。試合に出るんだ』と手術のときより泣くんですよ」

そのとき誠さんは、「こいつはサッカーで死んでも悔いはないんだろう」と思ったという。会場に戻った舞さんだが、もちろん試合には出してもらえなかった。仲間の試合を見守った彼女は「お腹がすいた」と、おにぎりを2つペロッと平らげ、誠さんを驚かせる。

「とにかく、負けず嫌いなんです。男子とサッカーしても、高校生や大人と試合しても負けたくない。だからこそ、努力はいとわないんですね。家でも毎日練習していましたし、ボールも10個くらいは潰したんじゃないでしょうか」

中学生になってもサッカーを続けたくて、地元中学の男子サッカー部に入部。同時に女子サッカーチームの鹿島レディースサッカークラブにも入団した。

「中学校のサッカー部には過去に女子はいませんでした。初めは戸惑われましたが、受け入れてもらいました。『男子と同じことをさせてください』とお願いしたことろ、『女子の更衣室はないですよ』と言われましたが……」

その後、”あの中学校にはすごい女のコ”がいると評判を呼ぶように。中学卒業後は、女子サッカーの強豪・常盤木学園高校に進学。そして、代表に選ばれるようになっていったのだ。

父・誠さんが見せてくれた、舞さんの小学校の卒業文集にはこう書かれていた。

《私の夢は、サッカーの女子日本代表になって、オリンピックや国際大会で活躍をし、日本の国旗をセンターポールに上げて、君が代を歌うことです》

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