激闘が続く、ロンドン五輪。30日に行われた競泳・男子100メートル平泳ぎ決勝で5位入賞に終わった北島康介(29)3大会連続2冠がかかった今大会へ並々ならぬ決意で臨んだ北島。彼の胸には、亡きライバルとの“ある約束”があった――。
今年4月にアレクサンドル・ダーレオーエン選手が心臓麻痺のため急逝したことを受け、「涙が止まらないよ」とつぶやいた北島。北京五輪ではダーレオーエン選手に勝利したものの、昨年7月の世界選手権では1秒以上の差をつけられる大敗を喫した。互いに切磋琢磨し合うライバルだったが、戦いの場を離れると2人は、友人だった。
「北京五輪後、北島は目標を失っていました。1年間も競技から離れていた彼は、北京五輪で銀メダルだったダーレオーエンに《もう完全燃焼した。実は引退も考えている。水泳以外にも何か自分を生かせる道を探してみたい》とメールを送ったそうなんです。それを読んだダーレオーエンは落胆し、《冗談じゃない。君を目標に頑張っている僕はどうなるんだ!》とメールを返したといいます」(競泳関係者)
その後、ダーレオーエン選手は着実に自身の記録をのばしていった。そして昨年の世界選手権ではついに北島を抑え、100メートル平泳ぎで金メダルに輝いたのだ。
北京五輪後、ダーレオーエン選手が北島に送ったメールには、こんな続きがあった。
《君ならロンドンまで実力をキープできる、そのロンドンでの舞台で君と僕にしかわからない平泳ぎの限界の先を見よう。僕は、君とその風景を見てみたい》
ライバルとの約束を胸に北島は200メートルで限界の先を目指す――。