(写真提供:美勇士)

7月15日午前4時半ごろ、大阪市内の自宅で倒れた桑名正博(59)。脳幹出血で意識不明の重体に陥った直後から、息子の美勇士(31)は病室で1日も離れずに看病し続けている。前妻であるアン・ルイス(56)とのあいだに生まれた、一人息子が今まで決して表にならなかった2人の秘話を静かに語り始めた。

 

「ロスに住むアンに電話して、『オヤジが倒れた』と伝えたら、驚いていましたけど、涙を流すことはなかった。正直、冷たい人だと思いましたよ」

 

だが直後、アンのフェイスブックに『praying…』というひと言が書き記された。美勇士はそれにヒントを得て、『桑名正博祈りプロジェクト』を立ち上げる。現在、美勇士のもとには、老若男女問わず、海外からも、数万通に及ぶ激励メッセージが届いている。ある日、眠い目をこすりながら、毎日送られてくるメールに目を通していると、ふと『Prayers』というタイトルが目に入った。アンからのメッセージだった。

 

『私があなたにこんなことを言うとは夢にも思わなかったけど、いっぱいのありがとう』

 

強がりなアンが、ローマ字で伝える魂の叫びだった。隣で目を閉じたままの桑名に、すぐさま読み聞かせた。すると、ふだんは穏やかな桑名の心拍数が上がった。間違いなく、アンの気持ちは届いたのだ。美勇士は涙を流した。

 

「感動しかなかったです。最初に電話したとき、息子に悲しみを悟られたくなくて、冷静なフリをしていたんだなって。本当は、アンは桑名を尊敬していて、好きだから結婚したという気持ちがずっと残っています」

 

当時、泥沼離婚が報じられ、世間から、絶縁状態と思われていた女と男は、回り道をしながら、夫婦時代よりも深い仲に変わっていた。

 

「アンから始まった僕らの祈りが、必ず桑名に届き、再び起き上がることを願っています」