「もっと頑張れば、私もこの舞台に立てたんだ……」と、夢見たリングを前につぶやいた南海キャンディーズのしずちゃんこと、山崎静代(33)。彼女はボクシングトレーナー・梅津正彦さん(43)と、2泊4日の強行軍でロンドン五輪を現地観戦した。そのときの様子を、がん闘病中にもかかわらず愛弟子のために同行した梅津さんが語った。

「彼女が挑んだ女子ミドル級準決勝の試合が始まると、しずは自分のビデオカメラで撮影し始めたんです。僕が代わろうとしたのですが『いえ、私が撮ります。いつか彼女たちと当たるときのためにも……』と。終了後は『私ならどう戦うかを考えて試合を見ていました』ときっぱり。それで彼女の本心を確認できました」

その余韻も冷めやらぬまま、仕事のため帰国したしずちゃんのもとに朗報が飛び込む。男子ボクシングミドル級で村田諒太(26)が金メダルを獲得したのだ。村田は全日本の合宿トレーニングを共にして、スパーリングも行った、いわばしずちゃんの盟友だった。

「スパーリングでは、もちろん村田くんが手加減してくれたのですが、しずは『倒してやる!』なんて意気込んで立ち向かっていました。いまは『なんて怖いもの知らずな……』と思っているでしょうね(笑)。村田くんのことを『近くで見ると、なかなか男前やな』なんて言ったりもして(笑)」

予選敗退後、リングに上がらずともトレーニングは積んできたしずちゃん。現地観戦と盟友の快挙に刺激され、その闘志にいっそう火がついた。だが現状では、女子ボクシングの五輪出場者は35歳制限とする規定が立ちはだかっている。アマチュアボクシング連盟は、年齢制限を37歳まで引き上げることも検討中だが……。

「それでも、あのコはいま前を向いているんです。僕が渡したトレーニングメニュー以上のことをこなして、いつでもリングに上がれるよう備えています」