稲川淳二(65)が、舞台で日本の怪談を語るトークライブ『怪談ナイト』を始めたのは20年前。近年は、日本最大級のロックフェスティバルにも出演し、ミュージシャンにも劣らぬ喝采を浴びている。全国を巡る怪談ツアーは、各地で10月まで開催される。

「昔、私が子供の時分は、夏だけにやってくるアイスキャンデー売りのおじさんとか、季節を感じられるものがあったんですよ。でも今の時代、そういう楽しみがなくなっちゃって。だったら、自分がやっちゃおうと思ってね。毎年、冷やし中華の張り紙を見ると『そろそろ出番かな?』って出て行くのよ(笑)」

45歳でツアーを始め、ちょうど10年たったころ初めて「10年後」を意識したという。そこで、タレントとして活躍し週に何本ものレギュラー番組を持っていたが、テレビの仕事を控える決断をした。

「テレビの世界で60歳までがんばって、体がボロボロになってから『さあ、怪談』っていうんじゃ、ファンに失礼だと思ったんです。元気のあるうちに、自分にしかできないことをやりたい、と。ナンバーワンじゃなくても、オンリーワンになりたかったんですね(笑)」

自分の足でネタを拾い集めて作った怪談は、約400本。このたび、20年の偉業が認められ、第1回の公演が行なわれた8月13日が日本記念日協会から「怪談の日」として認定された。

「ありがたいですよね。『いつかこんな日が』と汗を流し、血を流し、苦労を重ねてきたんですよ! ここからがスタートだと思っています。怪談は年を取って、半分”向こう”の世界に足を突っ込んでいるような『爺ぃ』になってからのほうが、味が出てくるんです(笑)」

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