「東京女学館が閉校へ」というニュースが報じられたのは、今年4月30日のこと。理由は「学生募集がうまくいかず、累積赤字が約25億円に膨らんだため」という。’13年度の学生募集を停止し、在学生の多くが卒業する’16年に閉校する予定だ。
「一報を聞いて、娘は『いったいどうなっちゃうの!?』と、肩を落として泣いていました」と語るのは、東京女学館に通う2年生の娘を持つ染谷真美子さん。同じく3年生の娘の母・成田志野女さんは「これから就職活動という、大切な時期なのに……」と悔しげな表情を浮かべる。
5月1日、学生募集停止について、最初の説明会が開かれた。しかし染谷さんによると、理事は「言うことを聞きなさい!」と、まるで軍隊の上官のような物言いで、しかも、何の資料も配布されなかったという。そんな学校側の対応に、駆けつけた保証人からは怒号が飛んだ。翌日、保証人対象の説明会が開かれたが、このときも用意されたのは、わずか1枚の資料のみだった。
「説明会って本来、相手に安心して、納得してもらうためのものですよね。でも、大学の対応には誠意がひとつも感じられず、不安をあおられるだけでした。『娘が信頼している先生方の話も聞かせてほしい』と頼んでも、理事たちはかたくなに、会場に先生を入れようとしなくて。私たちの強い要望で、説明会に先生も同席できるようになりましたが、発言はいっさい禁じられて……」(染谷さん)
募集停止の発表からこれまでの5カ月で、計8回もの説明会が開かれた。そのなかで保証人や在学生は「経営支援の申し出があった場合は、理事会で議論する」という言質を取ることができた。ところが7月、理事会が、経営支援の申し出をしてきた外部の学校法人など2件について、断っていたことが判明した。その理由は「閉校のスケジュールがずれるから」と理事は答えたという。経営支援の話を進めて、もし途中で頓挫した場合、余計なカネがかかるという説明だった。関係者の間では「すでに大学の土地は、秘密裏に売買契約が交わされているのではないか」という噂話が飛び交っている。
この状況について、平野博文文部科学大臣は8月31日、「学校法人には在学する学生がいることをしっかり認識してもらいたい。関係者に丁寧に、その経緯について説明していただくように求めていく」と発言した。染谷さんは最後にこう語る。「将来、娘に女の子の孫ができたら、絶対に東京女学館に入れようね、なんて話していたんです。今回の決定のやり方は、私と娘のそんな夢まで壊したんです」と。
本誌『女性自身』は理事長に取材を申し込んだが、「辞退したい」との回答だった。9月29日、大学は在学生・保証人を対象とする「報告の会」を開催する。内容が注目されるが、これまでの「説明会」が名前を変えたのは、すでに説明責任をはたしたと大学側は考えているのだろうか。だとしたら、大学を愛する人たちへの、大きな裏切りだと思うのだが――。