今月2日、肺扁平上皮がんのため、87歳で死去した俳優の大滝秀治さんのお別れの会が22日、東京・青山葬儀所で営まれ、脚本家の倉本聰氏(77)、俳優の浅野忠信(38)ら980人が出席した。
祭壇は白いユリなど1万本の花で飾られ、遺影は10年年頭に行われた舞台のパンフレット用に撮影されたもので、大滝さんが優しくほほ笑んだ写真が使用された。お別れの会は、『劇団民芸』によって取り仕切られ、大滝さんが出演した舞台『審判』『巨匠』などの映像も上映された。
優しくほほ笑む大滝さんの遺影を前に、倉本氏は「あなたは狂気の役者でした」と話し始めた。大滝さんが主人公・のいとこの牧場主を演じた『北の国から』で、役作りのため地元の農村を歩き回って住民からジャンパーや帽子を強引に借り「追いはぎの大滝と恐れられた」というエピソードを披露。「あなたは履歴づくりや住まいの地図、景色から役を生み出すということを僕に教えてくださいました。あなたは僕の師匠でした」と語りかけた。
「あなたとテレビに打ち込んだ日々が、どんどん遠くにかすんでいきます。寂しいです」と、しんみりと振り返り「天国では追いはぎをなさらないように」と呼び掛けていた。(撮影:小山伸正)