12月5日、急性呼吸窮迫症候群のため都内の病院で逝去した中村勘三郎(本名・波野哲明=享年57)さん。遺体は早朝に、東京都文京区内の勘三郎邸に戻ったという。結婚当初から32年間、いつもすぐ隣でサポートを続けてきた妻・好江さん(53)の様子について、歌舞伎関係者はこう語る。

「私が着いたのは朝10時ごろでした。好江さんは取り乱している様子で、『まだ死んでない!生きてるの。起きて!起きて!』って勘三郎さんの遺体にすがって、今にも揺り起こしそうなほどでした……」

自宅のリビングに横たわる勘三郎さんに黒紋付が着せられ、掛布団代わりに勘三郎さんの祖父だった名優・6代目尾上菊五郎さんが『船弁慶』で着た狩衣が掛けられていた。

「ある弔問客がふと、『どうしてこんなことに……。悔しい』と口にしたら、好江さんは突然『哲明さんは悔しいって言葉は嫌いよ!頑張ったんだから!』と強い口調でたしなめていました」(前出・歌舞伎関係者)

好江さんは来る人に対し、「ごめんね、(本当の病状は)言えなかったの」と謝りっぱなしだったという。病状の深刻さを勘三郎さんに気づかれないため、実の母親にすら真相を伝えていなかったのだ。2010年末に特発性両側性感音難聴を患い、昨年7月に舞台復帰を果たしたばかりの勘三郎さんに食道がんが見つかったのは、今年6月のことだった。

「いざ手術で開けてみたら思いのほか早かったそうです。成功したものの、1カ月もしないうちに肺炎にかかっちゃって。誰もがあれが命取りになるとは思いませんでした。彼女は手術が成功したことだけを伝えて、がんが予想以上にひどかったことにはふれなかったそうです。何でも言い合ってきた2人ですから、好江さんは心苦しかったでしょう」(勘三郎夫妻の知人)

勘三郎さんが無言の帰宅を果たした際、好江さんの横には初孫の七緒八くん(1)が寄り添っていた。

「泣きじゃくる好江さんの膝を、横にいた七緒八くんが無邪気に撫で続けているのがとても印象的でした。その場にいた人たちの涙を誘っていましたね」(前出・歌舞伎関係者)

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