ディズニーの新作アニメーション『シュガー・ラッシュ』が3月23日に日本で公開される。『塔の上のラプンツェル』や『ライオン・キング』など歴代のヒット作を抜き、全米オープニング興行成績№1のフルCGアニメーション作品だ。今回は、同作に参加した唯一の日本人アニメーター・ロング実由(みゆき)さん(29)に直撃取材をした。
実由さんはディズニー歴5年の若手アニメーターだ。アニメーターとはキャラクターに動きをつけて、命を与える仕事。実写でいえば俳優の仕事にあたる。
「まず監督からラフスケッチをもらい、担当するシーンの打ち合わせをします。その後は、自分でカメラの前に立って演技をしてみます。セリフをしゃべりながら、何度も何度も演技して、気に入るまで繰り返します。その実写映像をもとに、今度は一コマ一コマ、手描きでイラストにしていきます。全部手で描いてから、コンピュータで作業します」
アニメーションに必要なカットは1秒間で24コマ。一人のアニメーターが1週間で仕上げられる映像は平均3.5秒ほどと、とても手間のかかる作業だ。今作に参加したアニメーターは全部で67人。一人が担当する部分は、映画全体ではわずか2分ほどだが、実由さんが作品に関わっていた期間は約7カ月に及んだ。今回、実由さんはヒロイン・ヴァネロペのショットを中心に手掛けた。
「私の場合、ちっちゃくて、かわいらしい女の子のキャラクターのほうが向いてるみたいです。私がやると男の人もなんか女っぽくなっちゃうんですよね~(笑)。あと、アクション系が苦手で……どっちかというと泣いたり笑ったりといった感情系が得意なんで、ヴァネロペの感情シーンをたくさんもらいました」
実由さんが、この世界を目指したのは10歳のとき。ディズニーアニメーション『美女と野獣』を見たのがきっかけだという。高3のときに英語を学ぶためにLAに交換留学し、そのままアニメーションを学べる大学に入学。卒業後、タイミングよくディズニーが始めた研修プログラムに入り、そこで6カ月、さまざまな課題を乗り越え採用された。今後の目標を聞くと。
「ミュージカルが好きで入ったので、やっぱりミュージカル作品をやってみたいです。次作ではぜひ、歌うシーンをやらせてもらいたいんです!」