京都寂庵で開かれた瀬戸内寂聴さんの『青空説法』(最新単行本『明日は晴れ』発売中。光文社刊・1,050円)。今回の63歳の女性相談者は、苦悩をつづった手紙を寂聴さんに送っていました。長年連れ添った夫が愛人と……。さて寂聴さんのアドバイスは――。

63歳女性「旦那の話を綿々と手紙にも書きましたけど……、いい年をして、女がいまして……。私は、こんな年になって別れたくはないんです。でも、相手の女が、もうすごいんですよ(会場爆笑)」

寂聴「負けちゃダメよ。あなたの場合は絶対、離婚しちゃダメよ。離婚したら、その女が得するだけで、あなたは損よ。向こうに、子どもはできてないの?」

63歳女性「もちろん、私と同い年の63歳ですから。私が姑の面倒とか自分の親の面倒を見ているうちに、夫は山登りへ行って、その女と知り合ったんです。そしたらその女が親から財産分与してもらって、海辺の丘に夫と住む家を建てちゃったんです。ものすごいバイタリティのある女の人ですので、もう私、負けます、たぶん」

寂聴「女のところに行って、もう何年ぐらいになるの? まだ1年? でしたら、そのうちに女の気が変わります。そんなに続かない」

63歳女性「家まで建ててしまって、夫を逃がさないように一生懸命しているっていう雰囲気が伝わってきて、本当にスーパーウーマンみたいなんです」

寂聴「困ったわね。いっそのこと、ご主人の靴をピカピカに磨いて、『さあ、女の家へ行ってらっしゃい。ごゆっくり』って言ってやんなさい。もう、いないほうが楽じゃないの?」

63歳女性「そう思っていたんですけど、いざいなくなってみると、寂しいですね(笑)」

寂聴「あなたも若い男をつくりさい(爆笑)。そんなに美しいんですから、できますよ。とても魅力があります」

63歳女性「ありがとうございます。がんばってみます(爆笑・拍手)」

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