「ここ数年、私の周りでニートの男性と結婚する女性が増えています。彼らを見ていると、これまでの世代の結婚観とは明らかに違う。“ニート婚”をする女性は仕事に人生を盗まれない男を選びます」

 こう語るのは、引きこもりやニートの支援を19年間続けてきた、ニート支援NPO・ニュースタート事務局の理事を務める二神能基さん(70)。

 最近、稼ぎがなくても生活力がある夫を選び結婚する“ニート婚”の女性が増えているという。なんでも、ニート婚では夫が競争嫌いのため、家庭での主導権を握らないことが多く、2人で共同生活する分にはストレスのない平穏な関係が築けるそうだ。

「うちは完全にニート婚でした。売れてない芸人の20代のころなんて、そもそもニートみたいなもの。爆笑問題もデビュー2年目のころで、光は家にしかいない人でしたからね。彼はそもそも出不精で、書くものと表現する場があればよくて、それ以外のことは何の興味もない。彼と結婚するには、経済力を求めちゃダメだったんです。そのころは、2人で一緒に家の中で遊んでばかりいたけど、楽しかった」

 そう話すのは、株式会社タイタン代表取締役社長で、爆笑問題の太田光の妻でもある太田光代さん(48)。彼女もニート婚を選んだ女性のひとりだ。結婚当初、家に引きこもり、時間がたっぷりある光に家事を手伝わせ、光代さんが内職したり、パチスロで稼いだり、コンビニで働いたりして2人は食いつないでいたという。

「会社をつくったのは、彼がほかに何もできない人で、生活のために私がやるしかなかったから。当時、もしお金がほんのちょっとでもあれば、あのまま暮らしていく覚悟もありました。結果的には、彼もニートだったあのころにゲームをしたり、たくさんの本を読んで、力を蓄えたんでしょうね。今の表現につながっている。まさかの展開ですが、ニート婚だったからこそ経営者になって、彼と一緒に成長していけたんだと思います」

 今はなかなか一緒に遊べる時間がなく、「昔はあんなにいっぱい遊んでくれたのに!」と思うこともあるそうだ。

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