NHK連続テレビ小説『あまちゃん』のオープニングテーマは、大友良英さんが書いたちゃんちき (ちんどん屋の鐘などの音色)が入った軽快でポップな曲。6月25日発売のサントラCDはオリコン初登場でアルバム・チャートの5位。サントラでは異例の事件だ。

 だが、ドラマに必要な音は楽曲だけではない。海の音、雨の音などの自然音、電車にも町にも家庭にもさまざまな人工音がある。その効果音を駆使し、さらには感情を盛り上げる劇伴音楽を映像につけていくのが音響デザイナーの仕事だ。鈴木希弥さん(30)は音響デザイン部に所属するNHK職員。『あまちゃん』は3人でチームを組み、週ごとに交代で音響デザインを担当する。

「昨年8月に私たちも久慈へ行き、海女さんが潜っているところやシャッター商店街、夏ばっぱの家がある想定の高台にも立って、その空気を感じました。そしてレコーダーであらゆる音を集めて来ました」

 震災を経験した久慈の漁師たちとの会話から、海がどんな姿を見せてもかけがえのない、彼らのパートナーだと知った。地元の人々の生の言葉が鈴木さんの心に強く残った。

「天野家は高台にある家です。だから、波の音もかすかに聞こえているかなと思う。はっきりと耳にはきこえなくても、部屋の中には海の音がある。私が担当している回は、あの家の生活のなかに海の音が混じっているんです。でも、その音が意識されたら私達の負け。自然に季節感を表したり、気づいたら感情が高まっていたり、というのが理想です」

 そのために実験を繰り返す。1シーンに20曲ほどかけてみて、最適な音を見つけ出す。大友さんも大量に曲を作ってくる。朝ドラでは半年で100曲前後が普通だが、6月末の音楽録音で300曲を超えたという。

「化学反応が起きていると感じます。宮藤さんが書いた感情ラインに、大友さんの音楽がピタリと合う。故郷編のラストも、しんみりしながらも突き抜けた感を、と悩みに悩んでオープニング曲を当てたら『あ、これだね!』って。監督も、実験、実験の思いでやっていると思いますよ」 

 常に新しいこと、終わりのない作業。でも「挑戦しつづけると、絶対によくなる。続けただけ新しい発見があるんだなと思うんです」

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