パーキンソン病と前立腺がんで闘病中の永六輔さん(80)が、長寿番組『遠くへ行きたい』(日本テレビ系)に出演。「最後の旅番組になるかも……」と選んだ行く先は京都。瀬戸内寂聴さん(91)の寂庵へ。法話の会に「お邪魔します」と、車いすで飛び入り参加した。

寂聴 どうぞ、どうぞ。皆さんね、永さんがいらしてくださってよかったですね。今後会えるかどうかわかりません(笑)。この際、これだけは永さんに聞きたいっていうことがあったら、遠慮なく、手を挙げて!

Aさん 私には25歳になる息子がいます。別に優秀ではないんですが、心だけはすごく優しくて、親孝行な息子です。2年間の就活の末にやっと内定をいただいて、“これから一生懸命その会社のために働いて親孝行するよ”と言っていたその子が、入社式の直前に脳腫瘍で倒れました。
 それから9回の手術を繰り返し1年間入院して今、永さんのパーキンソン病とはちょっと違うんですが、パーキンソン症候群という重い後遺症で、自分では立つことも歩くこともできません。毎日、親子でリハビリしているんですけど、いつも人の心配をしていた息子が、人生の出発点でどうしてこんな目にあうのかと……、それを今日聞きに来たんです。

寂聴 大変な病気になってほんとにお気の毒ですけど、昔でしたら、もうとっくにあの世に行っています。だけど、お医者さんがいっぱいついてくれて、どんどん手当してくれているのでしょう。どうぞ絶望しないでください。どん底に落ちたらね、地面に落としたボールが跳ね上がるのと同じように、上に上がります。希望を持って、必ず治ると思って手当てを受けてください。永さんからは、いかがですか?

永 僕のパーキンソン病っていうのも難病で治らない。それでも元気でいられるのは、寂聴さんのようないい先輩がいて、会いに来て、寂しさが紛れるし、そういうことが支えになって、パーキンソンなのに悪くならない。で、みんな僕を注目しているのです。「パーキンソンのキーパーソン」って(爆笑)。

寂聴 ですから、周りの人が希望を失わないようにしてあげてください。それでも生きているということは、その人が生きているだけで意味があるんです。今まで命がもっている、まだ治療ができるってことは、大丈夫なのよ。大丈夫と思ってください(Aさんを励ます大拍手が)。

Aさん はい。

永 あなただけじゃなく、つらい人、もっとほかにもいっぱいいらっしゃるでしょうけれども、笑うということで、つらさを吹き飛ばしている。笑える余裕をもちましょうね。

Aさん 何もかも投げてしまおうと思ったんですけど、今日ここへ来てよかったです。ありがとうございます。

寂聴 寂庵で聞いた話のなかで、一つでもいいから、あなたが笑ったことがあったら、それをお子さんに話してあげてください。思わず笑うかもしれない。それからね、自分で自分を嫌うような人のことは、他人も嫌います。ですから、まず自分を好きになってください。

永 最後にこの法話の会の感想を言ってもいいですか?

寂聴 どうぞ、どうぞ。

永 質問に一生懸命答える寂聴さんをそばで見ながら、これは大変な会だと思いました。寂聴さんは医者じゃないから答えられることには限りがある。それでも逃げない。これはすごいことです。

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