ドラマ『特捜最前線』などで人気を博した俳優・荒木しげるさん(享年63)が急逝したのは昨年4月14日のこと。死因は肺アスペルギルス症という、糸状真菌が原因で呼吸困難に陥る病気だった。荒木さんは『小さな日記』などのヒットを飛ばしたフォーク・グループ「フォー・セインツ」でドラムを担当。その後俳優に転じ『仮面ライダーストロンガー』で主役を務めた。

 そんな人気俳優の急逝から1年3カ月。実はその最期の病床での仰天トラブルが、いまも続いていることが発覚した。亡くなる3日前の危篤状態の病室で、なんと暴行・傷害、器物損壊の被害があったことが、警察・検察に申し立てられていたのだ。

 申し立てを行なっているのは、荒木さんの最後の7年間を公私にわたって支えてきた女性Iさん。荒木さんが長い別居のすえ、2年前に前妻A子さんと離婚してからは、A子さんの前の奥さんの長女とともに、Iさんは闘病の面倒も見てきた。

 荒木さんが神奈川県川崎市内の病院に入院したのは、昨年4月2日。このときすでに、荒木さんは歩くこともままならない状態だった。重篤な荒木さんの介護を、Iさんと長女は交代でした。入院を知らせていないはずの前妻・A子さんが、突然病室にやって来たのは、1週間後の4月9日。このとき荒木さんは「生命保険のことで彼女が来た」とIさんに伝えた。そしてトラブルが起きたのはその翌々日、4月11日のことだった。Iさんや長女の証言のもとに、その修羅場を再現すると――。

 11日朝、「呼吸が薄く、危険な状態です」という病院からの電話を受け、Iさんと長女は駆けつけた。意識はなく、こんこんと眠る状態だった。血のめぐりが悪くなっていた荒木さんの足は、氷のように冷たくなっていた。2人は必死にマッサージを施した。長女が靴下を買いに外に出たそのすきに、事件は起きた。

「何が危篤だよ! なんで私に連絡がこないんだよ!」と、前妻・A子さんがいきなり病室に入ってきた。荒木さんに近づくなり、いきなり彼の顔面を平手打ちしたのだ。ビックリしたIさんは、あわてて酸素マスクを付け直した。

 A子さんが荒木さんに殴りかからんばかりになったので、Iさんは思わず彼女の首のあたりをつかんだ。すると、逆に彼女はIさんの髪の毛を両手でわしづかみにし、そのままIさんを室内で引きずり回した。Iさんは引きずられるまま抵抗せずに、後ろポケットの携帯電話を取り出し、「助けてください!」と主治医に電話をかけた。

 するとA子さんはそれを阻止しようと、片手を髪の毛から放し、携帯を取り上げた。携帯が壊れるバキッという音が聞こえ、床にたたきつけられた。「あの医者はね、私の友達なんだよ!」そこへ騒ぎに気づいた看護師が入ってきて、A子さんを厳しく叱責し、ようやくIさんは開放された。

 Iさんは警察に被害届を提出。これがなぜか暴行事件のみで傷害容疑が抜けていたため、いったんは不起訴処分となったが、あらためて今年4月に審査申し立てをし、検察審査会に受理された。

7月中旬、本誌は都内のマンションでA子さんを直撃した。暴行については、Iさんによる嫌がらせで、荒木さんの顔も平手打ちしたのではなく、髪の毛をかきあげただけだと語った。2年前の離婚理由を聞くと、こう反論した。

「ウチの娘はまだ当時高校生ですよ。受験を前に、パパが具合が悪くって稼げなかった。お金も必要だし、離婚して私たち2人になったほうがいいんじゃないかと思ったの」

 母子家庭になれば、公的機関から金銭優遇措置を受けられる。それでしのごうとした、とも記者に打ち明けた。A子さんの娘は今年4月5日に有名私立大学に合格。離婚は経済的な事情から決断したもので、そのときすでに将来の再婚も、夫婦で話し合っていた、というのだ。

「だから私が前日(4月10日)に(病院に)行って『(籍を)入れてくるわよ』って言って、(荒木さんが)『わかった』って言ったんですよ。わかった? 私だけが籍を出たんだから、葬儀になったとき喪主になるのがあの子(娘)になっちゃうんですよ。もしね、『保険金をもらうときに支障が出るから再婚しよう』ってパパと話していたとしたって、何か悪いですか?」

最後まで、彼女は自らに非があることは、ひとつとして認めなかった。Iさんは改めてこう語る。

「彼は両親と兄弟が眠るお墓を自分で建てていたんです。具合が悪くなってからも、真冬に素手でお墓をなで清めて『お袋と一緒に入りたい』と口にしていました。しかし結局は、A子さんの用意した別の所に……。彼も無念だと思います。もし不起訴になったとしても、私と私の周囲の彼を愛する人たちは、決してA子さんを許さないでしょう」

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