「『野心を持つ』というのは、『ビッグネームになる』ことではなく、自分の生きたいように生きるということ」と断言する勝間和代さん(44)。

「政治家や有名人にならなくても、身の回りで自分のやりたいことが達成できているのなら、それは野心を達成できたということだと思うのです」(勝間さん・以下同)

 そんな勝間さんの「野心」へのモチベーションは、意外なことに「苦労をしたくないという気持ち」なのだという。

「私は『バリバリと野心的に仕事をする人間』だと勘違いされることがありますが、実はけっこう怠け者。性格的に会社員には向かないし、かといって大勢の部下や従業員を抱える経営者という器でもありません。ではどうやったら、やりたくないことをやらなくても生きていけるのか。それは、自分の得意分野、つまり比較的楽にできることを伸ばしてくことだと考えたのです」

 勝間さんが最初始めた投資顧問と経営コンサルティング業は、すぐには軌道に乗らなかった。そんな中で、自分の長所は何かと考えたとき、「概念的なものを言語化する能力」であると気がつく。その能力を磨いて、本を書き、売り込み、調査し、市場を開拓し続けた。その結果、あの「カツマーブーム」がやってきたのである。

「野心を追う、ということは、『個人ブランディング』に近いのではないかと思います。まず、需要と供給を考えること。要するに、みんなが欲しがっていたのに『ありそうでなかったもの』を提供した人が、いちばん重宝されるし、同時に社会貢献にもなります」

 もうひとつ大事なのは、自分が何を目指しているのかを自覚すること。勝間さんを動かす原動力「平等な社会が来てほしい」という理念だ。

「現在も男女共同参画の仕事などを続けていますが、男女だけではなく現代はさまざまな面で不平等があふれています。私は中学から都内の一貫校で、大学を出て普通に会社に入りました。でも社会に出るまで、その経歴がどれだけ恵まれたものなのか気がつきませんでした。出身地や学歴で、若くしてこんなにもハンディがついてしまうのだと」

 その一方、若くして子どもを産んだことで、働く母親として社会の中でハンディをもつ側の気持ちも味わっている。

「不平等自体もよくないことですが、不平等の結果、全体の幸福度も下がります。だから私は不平等をなくしたい。そのためには何ができるだろうと、いつも考えています」

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