前日の台風がうそのように晴れ渡った10月17日午後、東京都内の病院の駐車場に、淡いグレーの車が止まった。フロント部分に高齢者マークを付けたフランスの名車・シトロエン2CV。そこから降りてきたのは宮崎駿監督(72)だった。

 実はこの病院は循環器専門病院であり、宮崎監督が訪れたのも初めてではない。通院している女性によれば、「9月半ばにお見かけしたんです」とのこと。この日、宮崎監督は病院に1時間半ほど滞在、スタッフ専用出入口から病院から出てきたのは、日も落ちてからだった。

 監督が病院で最初に目撃された9月半ばといえば、9月6日に東京・吉祥寺のホテルで引退会見を開いた直後にあたる。会見では、海外メディアの記者から「(最近)かなり痩せられたのでは?」と、健康状態を心配する質問があった。

「現在の体重は、63.2キロです(中略)。映画の監督をやるのは体調を整えなければならないので外食をやめました。朝ご飯はしっかり食べて、昼ご飯は家内の作ったお弁当を持ってきて食べて、夜はうちに帰ってから食べますけど、ご飯は食べないでおかずだけ食べるようにしたら、この体重になりました」

 この宮崎監督のコメントについて、監督をよく知る関係者は本誌に次のように語った。

「会見では明かされませんでしたが、実は監督は心臓に疾患を抱えているのです。ここ2年ほど胸の不快感を訴えていました。ときには散歩の途中などに胸をギュッとつかまれるような痛みを覚えて、そこにうずくまってしまうこともあったそうです。医師の診断によれば狭心症の疑いが強いそうです」

 狭心症とは、冠動脈の一部が狭くなったりしたために、心臓に血が通いづらくなった状態をいう。軽度の症状であれば、ニトロ製剤などの服用、もっと重い症状であれば、狭窄を治すためのカテーテル治療や心臓バイパス手術が必要となる。

秋津医院院長の秋津壽男医師によれば、
「散歩程度で、痛みが出るとすれば、症状は決して軽度ではないと思います。狭心症が原因で、心筋梗塞が起こることもあります。
 医師からは患者さんに、ダイエットや、禁煙、心臓に負担にならない程度の運動を勧めることが多いですね」

引退会見で明かされた宮崎監督のダイエットも、医師の指導によるものだったのだろう。

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