「フジテレビの『笑っていいとも!』、TBSの『はなまるマーケット』と、ここのところ番組の打ち切りで世間をにぎわせたのは、いずれも視聴率低下に苦しんでいるテレビ局です。局全体の調子がよくないため、“不良債権”を抱える余裕がなくなってしまった結果といえるでしょう」
そう話すのは、メディア論が専門の上智大学新聞学科・碓井広義教授だ。
82年の放送開始以来31年続く『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の来年3月終了決定という衝撃の発表に続き、18年目に突入した『はなまるマーケット』(TBS系)も3月いっぱいで終了することが11月6日に明らかになった。これら長寿番組の相次ぐ打ち切りについて、碓井教授はこう解説する。
「視聴率が低下すれば、局の看板ともいえる番組でさえ打ち切られてしまうということです。とはいえ、それが“聖域”とみられていた『いいとも!』にもおよんだのは思い切った決断でした。この“いいともショック”の影響もあって、今後も各局で見直しは進んでいくことでしょう」
では、放送開始から長く続いている長寿番組のなかで、次に危ない番組とは? TVウォッチャーの上杉純也氏はこう分析する。
「『とんねるずのみなさんのおかげでした』は、視聴率1ケタの回もあるなど、ギャラのわりに数字が稼げていません。フジテレビにとって、黄金期を支えたとんねるずは明らかな功労者ですが、『踊る大捜査線』のプロデューサーだった亀山千広新社長体制に変わったのをきっかけに、メスが入るかもしれませんね。
同様に『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』も、視聴率とギャラのバランスを検討されるでしょう。」
前出の碓井教授もこう語る。
「『みなさんの――』はマンネリ化で新しい視聴者を呼び込めていない。リニューアルする『チューボーですよ』も、固定ファンばかりで、堺正章さんのギャラと視聴率を天秤にかけると楽観視できないでしょう」
いいとも終了の余波は、ある“定説”を覆し、その後続番組にも影響をおよぼしかねないと前出の上杉氏が語る。
「もともと、シオノギ製薬の『ミュージックフェア』などに代表される1社提供の番組は、スポンサーが降りない限り、打ち切りのケースは少ないとみられてきたのですが、今後は局側の判断でテコ入れするケースも出てくるかもしれません。『ごきげんよう』もライオンの1社提供ですが、裏番組の『ヒルナンデス』(日本テレビ系)が2時間の放送で絶好調。いいともに変わって放送される新番組が、これに対抗して同じような枠の編成にする可能性も考えられます」
そして、風当たりが強いのは、バラエティやエンタメ情報番組に限ったことではない。
「代表的なのが、フジテレビのニュース番組です。小倉智昭さんの『とくダネ!』(99年4月~)、安藤優子さんの『スーパーニュース』(98年3月~)のどちらも、キャスターのギャラと年齢が高いことは否めず、打ち切りの噂が絶えません」(前出・テレビ局関係者)
“いいともショック”の余波で始まったテレビ界の改革。次なる“必見番組”がまた誕生してくれることに期待したい!