「三津五郎さんが受けたショックは、相当なものだったでしょう。8月には歌舞伎座の『髪結新三』で元気に共演していたわけですから。肩を落として、憔悴しきっていましたね……」(歌舞伎関係者)

11月16日、肝不全のため急逝した、歌舞伎役者の坂東三津之助さん(享年51)。坂東三津五郎(57)の弟子である三津之助さんは、10月の国立劇場でも舞台にあがっていた。
「9月に病院の検査で肝不全と診断され、三津之助さんはひどく弱気になっていました。とはいえ、見た目が痩せたとか、そういった変化はまったくなかったんですが……」(前出・歌舞伎関係者)

 ‘72年に三津五郎の父である九代目坂東三津五郎に入門し、翌年「みの虫」を襲名して初舞台を踏んだ三津之助さん。
「稽古熱心で、子役のころから活躍していました。玉三郎さんの『蜘蛛の拍子舞』では、着ぐるみ姿で蜘蛛を演じて大喝采を浴びていましたね。近年は、殺陣師として後進の指導にも当たっていました。亡くなる3日前に見舞った菊五郎劇団の盟友・坂東橘太郎さんが『少し入院が長引きそうだ』と言っていたのですが、訃報を聞いたときは信じられませんでした」(前出・歌舞伎関係者)

11月21日に営まれた通夜には、三津五郎のほか尾上菊五郎(71)や中村時蔵(58)ら多数の歌舞伎役者が弔問。市川海老蔵(35)も新車のベンツで斎場に駆けつけた。翌日の告別式では、定刻の45分前に、娘が運転する車で三津五郎が到着。小走りで大通りを横切り、斎場に入って行った。

 三津五郎自身も、すい臓がんを患い、9月3日に手術を受けたばかり。術後2ヵ月とは思えない身のこなしだった。“再発率8割”ともいわれるすい臓がんだが、ここまでの経過は順調なようだ。

「三津五郎さんも、現在は娘さんたちのサポートを受けながら、術後の食事療法を続けて復帰を目指しています。酒を飲み交わした三津之助さんの遺影に向かって、断酒と病気克服後の舞台復帰を改めて誓っていたと思いますよ」(前出・別の歌舞伎関係者)

 出棺の際、目頭をぬぐっていた三津五郎。三津之助さんを見送る表情からは、「愛弟子の分も芸の道に精進するーー」そんな決意が伝わってくるようだった。

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