中山秀征(46)の対談連載『語り合いたい人』。今回は株式会社スタジオジブリ代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫さん(65)だ。公開中の宮崎駿監督作品『風立ちぬ』ではプロデューサーを、最新作の高畑勲監督作品『かぐや姫の物語』では企画を担当。両監督の裏側を、たっぶりじっくり話してくれた。

鈴木「宮崎駿はアニメーションの手ほどきを高畑さんに受けていましてね。高畑さんのもとで育って、なおかつ新人だった宮さんを抜擢してくれたのも高畑さん。それで高畑さんのデビュー作からずっと監督は高畑勲、絵を描くのは宮崎駿でやってきた。つまり宮さんに言わせると『僕の青春はパクさん(高畑勲の愛称)に捧げた』となるわけです」

中山「なるほど、常に高畑さんのために絵を描いてきたんですね」

鈴木「そういうことです。あるときは共同事業者で、仲間であり友達で。そして、それぞれが独立して映画を作り始めるとライバルになった。今日に至るまでね、互いが互いの作品を意識しているんですよ。見てね、それぞれが何て言ったかを2人とも気にしていますよね」

中山「『風立ちぬ』を見た高畑さんは何と?」

鈴木「まず『話に無理がなく非常に好感が持てた』そうです。あの主人公像がとてもよかったし、バランスのとれたいい作品だ、と。その感想を宮さんに伝えたらもう天にも昇る勢いで大喜びしましてね」

中山「これまで高畑さんに褒められることはあまりなかったんですか?」

鈴木「『となりのトトロ』のときは高畑さんに『僕らが目指してきたものの頂点ですね』と言われて、宮崎駿は小躍りして喜んでました。そういうとき高畑さんは大人のふりして立派なことをいうんですよ。アハハ。なんというか、高畑勲は宮崎駿にとってお兄ちゃんなんですよね」

中山「厳しくもあり優しくもある。宮崎さんは『かぐや姫』はご覧になったんですか?」

鈴木「スタッフが最初に見る初号といういちばん最初の試写会で見ましたよね。で、見終わったときに、みんな涙を流しながら試写室を出てきましてね。それを見た宮さんが何て言ったと思います?ある人をつかまえて『なんだ、目を真っ赤に泣きはらして。こういう映画で感動するのはね、素人だよ!』って(笑)」

中山「アハハ。宮崎さんかわいいですねぇ!」

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