本誌隔週連載《中山秀征の語り合いたい人》。今回は松本明子さん(48)の登場。故郷から夢を抱いて上京した同世代の2人が同じ事務所に入り、芸能界で支え合い続けた30年。その夢の舞台で苦楽をともにしてきたときを、あらためて振り返った。
中山秀征 松本さんは今、地元密着の生活をしていますよね。地元の銭湯や八百屋さん、飲食店の人とも仲がいい。タレントっぽくないし、普通のおばさんなんですよね(笑)。
松本明子 私は17歳から芸能界にいるので、普通の人たちが普通に経験することをほとんど知らないんです。秀さん同様、20代は普通に友達と遊んだり、デートしたり、電車に乗ったりできなかった。最初、PASMOを見たときに、改札機の穴の中に押し込んでしまったこともあって、バリバリバリって……。この歳になって普通のことを知らないのは人間としてダメだと思い、なるべく普通の生活をしようと心掛けてます。
中山 子供がいると、余計にそう思うよね。PTAで同席する保護者は一般の方たちだからね。自分のことだけじゃなく、息子のことで謝んないといけないこともあるしね。
松本 子どもを産んで初めて親のありがたさも知りますよね。私は30歳で結婚するまでは、寝ないし、朝まで飲んでるし、人として本当にダメ。六本木の交差点で酔っぱらって寝てたことも、トイレの水で顔を洗ったこともあります……。
中山 松本さんは“破天荒”を体現していて、本当にすごかったから(笑)。一緒に飲んでいたのに、トイレから「助けて〜!」と聞こえて駆けつけたら、松本さんが便座を上げたまま、便器に座って抜けなくなって、引っ張り出しましたよね。
松本 川合俊一さんの膝枕で寝てしまい、そのまま真っ赤なスーツに吐いたこともあります(笑)。だから、こんな20代を過ごしていた自由でわがままな自分を制してくれる存在が、家族なんですよ。