アメリカ文化好きの父親の影響で、子供のころからアメリカンポップスが絶えず流れているような環境で育ったのが、ミュージカル女優の森公美子。通っていた仙台市内の私立中学では、外国人教師によるカンバセーションの授業もあったそうだ。

「怖いもの知らずの性格だったから、先生と英語でコミュニケーションを取っていました。家では父の方針で、耳から英語になじむために、英語教材を聞いていました。それに。ザ・モンキーズの歌なんかを繰り返し歌ってましたね。辞書を引いて、自分で歌詞を訳したりして。そうしてるうち、きちんと英語が話せたらカッコイイなという気持ちが強くなってきて。高校時代に1年半、アメリカに留学したんです。そして大学も、ニューヨークのジュリアード音楽院へ進みました」

 今ほど留学が一般的ではなかった時代の話。もっぱら耳で聞いて、聞えるように声に出しながら覚えた『モンキーズのテーマ』を外国人の前で歌ったら、「すごく発音がいい」とほめられたそうだ。しかしそんな彼女も、当初は教科書で習った文法にのっとった英語を使わないと、通じないと思っていた。

「頭の中で考えて、作文してました(笑)。でも実際のところは、アメリカ人がみんな文法どおり、しゃべってるわけじゃない。私の場合、理屈より前に生の会話に入り込めたんで、早いうちにそのことの気づいて、柔軟に英語を捉えることができたと思います。父のおかげですよね」

 英語を話せると、フットワークも軽くなる。舞台の本場の空気の中で英気を養い、役の構想を練ることもできる。英語の台本を、アドリブでふくらませることも。

「別に私は、きちんとした英語を話しているわけじゃないんです。留学先で必要に迫られて、自分の希望や文句が言えるようになった感じ。私自身の体験を振り返ると、親がどれだけ子供の英語教育に積極的か、がカギじゃないでしょうか。親が熱心なほど、子供は上達すると思います」

 それは、何もおカネをかけなければいけないということではない。英語に触れるチャンスは、どこにでも転がっているのだ。

「じつは私もね、もう1回留学して、英語を勉強し直したいの」と森さん。

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