作家・中村うさぎ(56)は、香港出身の夫が押す車椅子でインタビュー現場に現れた。原因不明の奇病で入院生活を送った後、昨年11月に退院。その後の投薬治療で、元気だった姿とは別人のようになっていた。

「飲んでいる薬のせいで食欲旺盛なのよ。体は太るし。今はいつ自分で歩けるようになるかなあって思って、週二回のリハビリ通いを続けているところ。夫にこうして車いすを押してもらうと、ああ夫婦っていいもんだなあって。甘えていますよね」

 そう言って、少し照れたように微笑む。

「退院したら、糞尿を垂れ流しでオムツしてる状態。今でもトイレやお風呂は、ヘルパーさんの手伝いがないと行けません。普段の生活も、夫に車いす押してもらわないと。以前は『家庭にセックスは持ち込まない』と言って好きな男に会いにホテルに自由に行ったりしていましたが、今は自由に歩くこともできない。自分の足で歩けるって、うらやましいほどの幸せですよ」

 一度、臨死体験をしてからは、死ぬことが怖くなくなったという。

「その前に体が痛い思いをするのは嫌だけど、死ぬときは知らないうちに楽になって、無の境地に行くわけで。だからまた再発して死んでも、そんなの怖くない。ああ、また楽になれるんだなあって。生きているうちは、やっぱり煩悩のままに、好き勝手に生き抜くのが大事なんだって思いましたね。人生はなるようにしかならない。だから生きているうちは思いきり自由に生活したい。生きていれば悪夢は突然来るんだから、それまで人生謳歌しようって」

関連カテゴリー:
関連タグ: