アメリカのホットな音楽情報を、真っ先に届けてくれる番組といえば『ベストヒットUSA』。この番組を通して、マドンナやマイケル・ジャクソンのPVに触れ、シビレたという人も多いのでは?地上波での放送を経て、現在はBS朝日で火曜午後11時から放送中だ。

『ベストヒットUSA』のスタートは’81年。日本では「ウォークマン」が登場して、音楽を気軽に持ち歩ける時代に突入したころでもあった。30年あまりにわたって、進化を続ける伝説的な洋楽番組の司会を担当するのは、日本を代表する名DJでもある小林克也だ。

「この番組は、まだMTVなどがなかった時代に、ビデオクリップをどんどん流していた、型破りな番組でした。番組の要素は、音楽のビデオと僕のひとりしゃべりだけ。だから予算もそれほどかからないんです(笑)。ただし、流されるビデオの映像は、数分間でも億単位のおカネをかけて制作されている。そんなビデオがたくさん並ぶわけですから、贅沢な時間ですよね」

 今でこそ、ミュージックビデオはどこでも見られる時代。しかし「音楽についてちょっと深く入る」「ここでしかできないものを見せたい」という番組の姿勢は、変わらない。

「BSの放送局にも『BSでしかやれないことをやる』という気風があります。その意味では、この番組は最初からBS的だったのかもしれませんね」

 番組の目玉のひとつが、ゲストとしてやってくる海外アーティストとのトーク。BSでスタートしてからは、インタビューの時間を増やし、アーティストの素顔が感じられると、より人気になっている。

「海外からのゲストには、ホントにいろんなタイプの人がいますよ。仕事熱心な人もいれば、そうでない人もいる(笑)。たとえば『ヴァン・ヘイレン』のデヴィッド・リー・ロスなんかは、すごくしゃべりたがりのハイパー人間で、マイクを持つと離さない。でも、話すことでその人の性格が出るから、やっぱり面白いですよね。昔は危ないムードをまとっていたような人が、ずいぶん丸くなってやって来たり。画面を通して、彼らの本音がチラリと出る瞬間を見られるのは、この番組ならではだと思いますよ」

 リクエストをくれる層は幅広く、小林さんと同世代の人から10代まで。最近、少し洋楽と離れていたという女性ファンにも、ぜひ見てほしいと語る。

「男性は意外と保守的だけど、女性は新しいものに対しても感性が鋭いですから。『アナ雪』なんかもガンガンかかります。新しくても古くても、いいものはいい。みんなで楽しもうじゃないですか!」

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