3年連続で『NHK紅白歌合戦』に出場する美輪明宏さん。今年は美輪さんがナレーションを務めた連続テレビ小説『花子とアン』の挿入歌として流され、大反響を呼んだ『愛の讃歌』を歌う。’14年を象徴する曲となった『愛の讃歌』の知られざる秘話を、美輪さんが語ってくれた。

「『花子とアン』の中で、蓮子(仲間由紀恵)と龍一(中島歩)が駆け落ちを図るクライマックス・シーンに、私が歌う日本語バージョンがフルコーラスで流れました。オンエアの後、ネット上では大変な騒ぎになり、ツイッターには、“テレビドラマ史上最高の名シーン”たとか、“朝から涙してしまった。朝ドラのくせに……”とか(笑)。こっちが驚くぐらい反響がすごかったですね。

 私のコンサートスタッフたちからも“すごい騒ぎになっているので、秋から始まる音楽会は、日本語バージョンをやりましょう”と。これまで『愛の讃歌』は、フランス語の歌詞を直訳した日本語で、内容を説明してからフランス語バージョンで歌っていました。でもこの騒ぎで、秋以降は20年ぶりに日本語バージョンで歌うことにしたんです。

『花子とアン』の挿入歌として流された日本語バージョンは、46年前にレコーディングしたものです。当時、『上を向いて歩こう』を作曲された、親友の中村八大さんがアレンジを受け持ってくれました。まだそのころは、伴奏だけをダビングして、後から歌を入れるという手法ではなく、同時録音でした。この曲は、大編成でおこなったレコーディングでしたので、スタジオの中は人だらけ。大変だったことを覚えています。

『愛の讃歌』といえば、一般的に越路吹雪さんの歌をイメージされる方も多いと思います。だから、私の『愛の讃歌』をご存じなかった方は、朝ドラで流れた歌を聴いてビックリなさったみたいですね。歌詞がまったく違いますから。私はフランス語の原詞をできるだけ忠実に訳しました。なぜなら、その歌詞のスケールが壮大だからです。

 要約すると“あなたが望むなら宝物だってお月さまだって盗みに行くわ。あなたが望むなら、世界の涯(はて)だってついていくわ。やがて時が訪れて、死が私たちを引き裂いたとしても、それも平気よ。私も必ず死ぬんだから。死んだ後も、青く広がる空の愛の中で永遠の愛を誓い合うのよ。そういう私たちを神様も永遠に祝福してくださるでしょう”――。すごい内容でしょ?

 この曲を作詞して歌ったエディット・ピアフは、本当の愛を知っていた人だったのだと思いますね」

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