画像を見る

「この10年を振り返ってみると、これまでの僕の人生のなかで、いちばん変化のあった10年でしたね。そのなかで、いちばんの出来事は、やはり、長女の誕生と突然の死。それも、きちんと日記に残せたことは、僕自身にとってよかったと思う」

そう語るのは板尾創路(51)。自身の365日を綴った『板尾日記』(リトル・モア刊)を最初に出版したのが06年。この2月末に、最終巻となる『板尾日記10』が発売になった。『板尾日記』では、仕事や彼の内面の思いのみならず、私生活についても綴ってきた。

「子供や身内を亡くされた方から、僕の本を読んで慰められたとか、『つらい思いをしているのは自分たちだけではないとことがわかりました』という内容の手紙もいただいて……。
そういう意味でも『板尾日記』を出してよかったし、出した意味があったのかなと思っています」

彼は’98 年に8歳年下の一般女性と結婚。’07年9月に長女が誕生した。しかし、彼女は09 年8月、突然死去(享年1歳11 カ月)した。

「長女を亡くした直後の僕を支えてくれたのは……やはり、奥さんです。僕より彼女のほうがはるかにつらかったはずです。自分のおなかを痛めた子ですからね。いまもそうですけれど、母親として、わが子を亡くした悲しみはけっして癒えることはないし、悲しいときは泣けばいい。そのときは、慰めの言葉をかけるより、本当にそばにいてあげて、彼女が話をしたいときに聞いてあげる。それだけでいいと思ったし、何より僕が一生懸命仕事をしている姿を見せることが、彼女にとって、たぶんいちばんいいことだ、と思いました」

長女急逝の3年後、12年6月には夫婦に次女が誕生する。

「次女については正直言って、長女を亡くして、また子供をつくって、その子を長女の代わりにかわいがるというのはどうなのか……と思うところはありました。でも、産むのは奥さんですから。彼女に『ほしい』という気持ちがあるのなら、絶対つくったほうがいい。そう考えて、全身全霊で彼女に協力しようと思いました。日記には、折に触れ『4人家族』という言葉が出てきますが、うちは、僕ら夫婦と娘2人の4人家族だと思っています。長女のことは、いまでも1日たりとも忘れたことはありません。彼女は、僕と奥さんとの間にできた命ですから。2人が存在し続ける限り、魂とか、意識はないけれど、彼女は生きているんじゃないか。次女のなかにも『おねえちゃん』として存在しているんじゃないか……。そんな気がします」

【関連画像】

関連カテゴリー:
関連タグ: