「“21年ぶりの生放送音楽番組”などと、鳴り物入りでスタートした『水曜歌謡祭』でしたが、自分の持ち歌でない曲を歌うスタイルも新味はなく、悪く言えばお金をかけたカラオケ中継といった感じでした」と語るのは、コラムニストの桧山珠美さん。4月15日放映の『水曜歌謡祭』(フジテレビ系)は2時間スペシャルだったが、視聴率は7.3%(ビデオリサーチ調べ・関東圏、以下同)。TBSの野球中継にも負けてしまった。
「『水曜歌謡祭』は昼の情報番組『直撃LIVE グッディ!』と並び、大改編の目玉とされていました。視聴率が判明したとき、局内には重苦しい空気でした」(フジテレビ局員)
この春、フジテレビはまさに“社運”を賭けた番組大改編を行った。改編率はプライムタイム(19時~23時)で42.9%と異例の大改革だったが、4月14日のプライムタイムではテレビ東京にも負けてしまい、キー局で視聴率最下位になってしまった。特に心配されているのが月曜日から金曜日まで放映されている『グッディ』だ。フジが打倒を目指し続けている『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)の4月15日放送の視聴率が8.6%だったのに対して、『グッディ』は2.5%、なんと3分の1以下。
「ワイドショーの製作には少なくとも100人以上のスタッフが必要です。制作会社などから集めようとしたのですが、優秀な人材が集まらず、情報番組の制作は未経験というスタッフも大勢いる。いまも現場はかなり混乱しています。なぜスタッフを集められないか?それは番組の予算が少なく、提示しているギャラが安いからですよ」(制作会社の社員)
制作現場のディレクターやADらに聞くと「昨年6月末に亀山千広社長(56)が断行した人事異動が無茶だった」という声も多かった。社員1千500人中、1千人を異動させるという大改革だった。だがバラエティ番組に携わる制作会社の女性ディレクターは言う。
「黄金期だったフジテレビの感覚から抜け出していない人がタレントのブッキングにも口出しするのですが、いまはテレビ局の影響力も落ちていて、昔のようにはいかないのです」
また別の制作会社ADも、こう語る。
「ただでさえ経費が削られているところに、慢性的な人手不足。激務のうえ、思ったような番組が作れないストレスもあり、若いスタッフが次々と辞めてしまうんです……」
フジの今春の改編テーマは「生放送を充実させる」。だが生の現場は嘆き節ばかりだった。