「『まれ』に出演してから、家の電話は鳴りやまないし、メールもいっぱいきたよ。僕のお店も、開店1時間前から行列ができています」と話すのは、NHK連続テレビ小説『まれ』横浜編で、中国料理店「天中殺」の謎の料理人・珍文棋を演じる孫成順さん(52)。

 実は孫さん、知る人ぞ知る、東京にある人気中国料理店・中國名菜「孫」のオーナーシェフ。NHK『きょうの料理』『あさイチ』の「夢の3シェフ競演」でも人気を博した一流料理人なのだ。ドラマ出演は今回が初めて。調理のシーンでの華麗な手つきに「あの料理人の役者さんは誰なの?」と、話題になっている。

「去年の11月に、『ドラマに出てください』とプロデューサーから話がありました。でも僕の本職は料理ですから、『お芝居はできません』と言ったんです。ところが、『そのままでいいんですよ』とお願いされて」(孫さん・以下同)

 そのときは「10日ほど時間をください」と返事を保留し、家族や店のお客さんに、「僕がドラマに出るといったらどう思う?」と相談してみた。

「奥さんも娘も、出演に反対でした。お店のスタッフも賛成と反対に分かれたし、どうしたらいいか悩みましたね。他局のドラマだったらすぐに断わっていたと思います。僕は以前にNHKの番組で大変お世話になりましたから。その恩返しもしたかった。朝ドラは同じNHKで、それに日本の歴史あるドラマでしょう。日本に来てからも、多くの人と出会うことで、チャンスをもらって、これまでやってくることができました。お世話になった人たちへの感謝の気持ちも込めて、ドラマに出ようと決めたんです」

 希役の土屋太鳳は「珍さーん」と、腰かけている孫さんの膝の上に座ってきたり、おなかをつついてきたりと、とてもなついていたという。そんな横浜編の撮影はすでに終了し、先日打ち上げが行われた。

「希ちゃんには、『僕が最後までやり通せたのは、あなたのおかげ。あなたが話しかけてくれなかったら、僕はやめていたかもしれない』とお礼を言って、ハグをしましたよ」

 いきなりの大役を終えホッとしている孫さんのもとに、別のドラマへの出演オファーがあったというが……。

「いえいえ、料理人に戻ります。もうドラマには出ないよ(笑)。『まれ』は、見る側で楽しみます。みんな、最後まで応援しているよー!」

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