「番組の顔としていちばんよくしゃべる人が、以前の“司会者”だとすると、今のMCには、ほかの人のよさを引き出す力が求められています」

 こう語るのは、コメンテーターとして多くの番組で活躍する、コミュニケーション論の専門家で明治大学文学部の齋藤孝教授(54)。いまテレビ番組を仕切る司会者「MC」に熱い視線が注がれている。従来のリーダー型司会者や、そつのない優等生の司会よりも、親しみがあり時にツッコみ、時にイジられる“愛されMC”の出番が増えてきているのだ。そんな、いまどきMCの魅力を齋藤教授が分析してくれた。

「MCはマスターオブセレモニーズの略語で、進行する人や司会者のことをいいます。人がいる場を楽しくするいい空気感を作るのもMC力次第。今、直接的な言葉遣いで、相手をおとしめるような笑いをとるやりかたは受け入れづらい時代となっています。ですからMCは以前よりも、相手を大切にする『優しさ』が求められているのです」

 さらに優しさだけでなく、最近、活躍中のMCには、いくつかの共通点が見られると齋藤教授は指摘する。

「人としての『かわいげ』も、とても大事な要素です。村上信五さんはリラックスしていて、オープンなところに親近感がありますね。ツッコミ、ツッコまれてを、自在に使い分けて場を和ませています。このツッコまれるぐらいの、ちょっとした隙のあるかわいげが、MCには大切な要素なんです。マツコ・デラックスさんにツッコまれても、彼はかわいい感じで笑って受け止められる。この笑顔の感じがいいポイントなのです」

 齋藤教授は、ものごとを深く掘り下げていく「質問する力」にも注目している。

「今の時代は、雰囲気で盛り上げていくというよりは、的確な質問を投げかける深さが求められています。たとえば、マツコさんの番組『マツコの知らない世界』(TBS系)では、一流の素人さんをゲストに招き、その人の世界に共感しながら、話を掘り下げていきます。理解力のあるマツコさんが、的確な質問を投げかけているからこそ成立しているのです。相手の深い部分にちょっと届くように、掘り起こして話を聞けるのは、広い意味での知性があるから。これからのMCとしては、こうした“深さの感覚”もあったほうがいいでしょう」

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