「昨年秋に亡くなった高倉健さんは、毎年、姉の命日になると桐箱に入ったお線香を届けてくださいました。七回忌では、そのお線香を使わせていただきます」と語るのは、大原麗子さん(享年62)の実弟・政光さん(66)。
大原さんが亡くなったのは’09年8月3日。今年は前日の2日に、世田谷区にある妙壽寺で七回忌法要が営まれた。本誌が政光さんを取材したのは、法要の数日前だ。
「あの日のことは忘れられません。姉は誰かに電話しようとしていたのでしょう。右手が携帯電話のほうに伸びていました。冷蔵庫にはスイカと缶ビールだけ入っていて……」
政光さんが、大原さんの変わり果てた姿を発見したのは、彼女が亡くなって3日後のこと。“大女優の孤独急逝”は世間に衝撃を与えた。
「しかし、この6年で生前の大原麗子が思い描いていたことが次々に実現していきました。振り返ってみると、奇跡のようにも思えます」
‘11年には彼女の人生を描いた本『炎のように 大原麗子』が上梓、’13年にはドラマ『女優 麗子~炎のように』が放映されたのだ。そして最近も政光さんにとって思いがけないことが起こったという。
「実は姉が住んでいた世田谷の家の売却が急に決まったのです」
大原さん暮らしていた自宅は、世田谷区の閑静な住宅街にある。約150坪の土地に、延べ床面積260平方メートルの南欧風2階建て住宅だ。地元の不動産業者によれば、2億5千万円ほどの価格になるという。大原さんはこの家で23年間暮らした。
「姉は生前、この自宅を売却し、マンションに移り住むことを考えていました。あれだけ広いですからね、1人暮らしの姉が住むには寂しかったのではないでしょうか。姉は『孤独を楽しんでいるの』と言ってはいましたが、寝るときにはベッドの下に木刀を置いていたのです」
しかし広すぎて、なかなか買い手が決まらなかった。
「土地を分割して売却したい、という話はありましたが、姉はあの土地を気に入っていて、分割には反対でした。姉が亡くなった後も条件が折り合わなかったのですが、それが七回忌直前に、話がまとまったのです。ある会社が一括して購入してくれることになりました。姉の願いどおりになったのも、彼女の導きでしょう……」